企業の利益も史上最高水準だ。法人企業統計を見ると、全規模全産業(金融保険を除く)の経常利益額はバブル期の2倍近いレベルであり、売上高経常利益率もバブル期を大幅に上回っている。

 日銀短観を見ると、雇用人員判断の不足幅はバブル期に近い水準であり、労働力需給が極めて引き締まった状況であることが推測される。国内での製商品・サービス需給判断もバブル期並みの水準だ。

 日銀短観でもう1つ注目されるのが、製造業の生産・営業用設備判断の不足幅が、これまたバブル期に近づきつつあることだ。

 つまり、労働力の需給が非常に引き締まっていて、企業が大いに儲かっているというわけだ。物が売れていて、設備も足りていない。これを「景気が絶好調」と表現しないで何を絶好調と表現すればいいのだろうか。

景気の実態を表す数字は絶好調
にもかかわらず景況感はさえず

 このように、景気の実態を表す数字は絶好調である一方で、人々の景況感はいまひとつだ。

 その一因は、バブル崩壊後の長期低迷期に人々の心に染み付いた「デフレマインド」だろう。デフレという言葉は、物価の持続的な下落を意味する言葉だが、デフレマインドという言葉は「これまでずっとダメだったから、これからもどうせダメだろう」といった人々の心理状態を指す場合が多いようなので、本稿でもそういう意味で用いる。

 バブル崩壊後の長期低迷期に、景気が回復し始めては再び悪化し、期待が裏切られ続けてきたので、「期待しない方が裏切られなくていい」と人々は考えるようになった。個人としては合理的な判断なのだが、そのこと自体が個人消費や設備投資などの回復を鈍らせて景気の回復を阻害する「自己実現的予言」となってしまったのは、非常に残念なことだ。