まず1点目は、「一気に書く」こと。

わたしは毎月1冊本を書いているので、月単位の仕事の流れがほぼ決まっています。1週目の丸1日を使って資料を読み込み、もう1日を使って目次を考える。そして、翌2週目の5日で一気に書き上げていきます。2週目にはできるだけ仕事は入れず、自宅作業に充てます。

ビジネスパーソンであれば、午前中に企画書を書き始めて午後はアポイントへ、そしてまた夕方から企画書に取りかかった途端に同僚から声を掛けられて……と、企画書がなかなか進まない経験をお持ちでしょう。だからこそわたしは、午前中だけ書くとか、夜に少しだけ書くという進め方は、それまでの工程を思い出す作業も必要になって非効率なので、やらないと決めています。

2点目は、「細かく分けてノルマ化する」こと。

10万字=本1冊分は、一般的に、2,000文字×50項目に分解することができます。5日間で書き上げたければ、1日あたり10項目書かなければいけません。

そこで毎日の「ノルマ」として、必ず10項目は書くと決める。「もう少し頑張れば明日が楽になるぞ」と自分を励ましながらもう1項目書ければ、達成感があります。そんなふうに、細分化した上で、前へ、前へと書き進めていくのです。

これは、何も本1冊だけでなく、企画書の場合でも同様です。具体的な商品サービスの説明ページを作成するならば、「商品サービスの仕様」「効果を発揮するシーン」「競合他社との比較」といったように細分化して整理しておく。そうすれば、この3項目を書き上げればページが完成するとわかる=先が見えるので、書き進めやすくなります。

3点目は「それ以外、何もやらない」です。

結局のところ、集中できる時間をしっかり持てないことが、速く書けない最大の理由です。私の場合は、書くことに集中する2週目の5日間に突入したら、日中にメールは開きません。メールチェックは朝と夜寝る前だけにする。取材時間の変更など緊急事態があれば、メールではなく電話がかかってくることがほとんどなので、通常の仕事に支障はありません。書き始めたら、他のことはしない。本だけを書くことに集中する5日間を確保しています。

ビジネスパーソンであれば、たとえば企画書を書く日を決めて、いつもより少し早く出社する、自分のデスクではなく会議室を予約しておくことなどで、集中する時間を確保できると思います。

つまり、10万字を5日間という超スピードで書くためのポイントは、「書く」よりも「素材を集める」こと。集めた素材を細分化し、集中する時間を確保して、一気に書き上げることなのです。

なお、「集めた素材をどう構成すれば、わかりやすい文章を速く書けるのか」などの点については、『10倍速く書ける 超スピード文章術』で、私自身が25年間積み上げた独自のノウハウを余すところなく紹介しています。

日々のお仕事や書きもので、ぜひ、使い倒してください。