営業利益はIFRS(国際会計基準)への移行のため394億円の上乗せ影響があり、当期利益はブラジル事業の譲渡益332億円が加わっている。海外事業や協和発酵キリンなどの大型買収で発生したのれんの償却費用を、これまでの日本会計基準では営業利益から差し引かなければならなかった。だがIFRSではその必要がなくなり、高値つかみばかりだったとやゆされてきた過去のM&Aが、一転してプラスに働いた。

 一過性の理由が大きいが、その他の要因もある。これまで成長しないと思われてきた国内事業だ。

 例えば、15年度のセグメントごとの営業利益は、キリンビールが626億円、キリンビバレッジが56億円だったが、これが17年度は716億円と217億円にまで増加。やはりこの20年間で最高益水準となっているのだ。

 キリンビバレッジは「生茶」が16年のリニューアルにより大幅に売り上げを伸ばしたことと、採算性の高い小型ペットボトルの比率を高めたことが効いた。キリンビールは18年には新ジャンルの「本麒麟」のヒットに支えられた。

 キリンは06年のKV2015発表以降、合計4回中計を発表し、過去3回は目標未達に終わった。だが、18年度を最終年度とする今中計は初めて目標を達成できそうな見込みだ。連結営業利益目標としていた1600億円は、第3四半期末時点ですでに達成。ROE15%は17年度に29.1%と達成済みだ。18年度も第3四半期末時点の通期予想と親会社の所有者に帰属する持ち分から推定すると19%程度で、クリアは確実となった。

 ライバル4社の中で唯一1倍を切るD/Eレシオと、4社中最高額となったFCF。一昔前にやゆされた“現金をため込み成長投資をしない”状態に財務面では回帰したキリン。今後求められるのは過去10年間の教訓を踏まえた、真の意味での成長投資だろう。

 世界の主立った食品のM&A候補企業はほぼ全て買い手が決まった今、次期中計で磯崎社長は何をもって成長を狙うのか。孫会社の協和発酵バイオを1280億円で買収することを決めたが、こうした国内の非飲料事業の強化が今後のキーになりそうだ。“再生”の次に注目が集まる。