そもそも
出店が過剰である

 もう1つ、この問題を語るに当たって不思議なのは、「そもそも出店が過剰である」ことに誰も触れないということだ。コンビニしかり、飲食店しかり。「買い物難民」が社会的課題となっている過疎部の話ではなく、人口が密集している都市部の話だ。

「慢性的な人手不足」が要因という説もある。

 でもそれを作り出したのは、過剰なほど出店を繰り返してきた、当の企業自身ではないだろうか。

 アルバイトではなく正社員を雇用することや、アルバイトの時給を上げることなども、解決策として挙げられている。

 だが、人材採用において「質より量」の事態を作り出したのも、当の企業自身と言える。「出店過剰をやめましょう」とは、誰も言わない。今の事業規模を保つこと、では不足で、必ず「対前年比何%増」を唱える。

 2019年1月、恵方巻きの大量廃棄を防ぐために、農林水産省が小売業界に対し「需要に見合う数を販売するように」と通知を出した。

「お手本に」と挙げたのは、「前年実績で作る」と宣言して実行した、兵庫県のヤマダストアーである。彼らは2019年も2018年も「前年と同じ実績で」恵方巻きを作り、過半数の店で完売した。恵方巻きが「モノ」ではなく、海洋資源などが詰まっており、それらを廃棄するのは心が痛むから、としている。

 だが、マスメディアの報道を見れば、農林水産省の通知に反し、大手小売はどこも「前年実績を上回る目標」を立てた。