ボストンコンサルティング社長として名を馳せたビジネス界きっての読書家が、
どう読書と向き合ってきたか、何を得てきたか、どう活かしてきたかを縦横無尽に語り尽くす。
自分を高める教養と洞察力が身につき、本を武器に一生を楽しむ、
トップ1%が実践する『できる人の読書術』を説き明かす。

経営コンサルタントとして独り立ちするターニングポイントとなったこと

自分自身を疑う習慣を身につける

読書をしたいという意志があるならば、知識を蒸留して知恵と教養を会得し、一流になる準備はできているはずである。

知恵と教養はあるのに、洞察力がない。
そういう人が、読書以外で一流から超一流にジャンプアップする方法が他に何かあるのか。
1つだけ挙げるとしたら、それは「自分自身を疑う」ということだ。

誰しも、自分のやっていることは正しいと思いたい。

しかし耳を澄ましてみると、心のどこかから「これで本当にいいのか?」という囁き声がかすかに聞こえてくる。
通常はそうした囁き声を無視してしまうが、「これで本当にいいのか?」という良心の囁きに耳を傾けて自らを問い直すのは、一流が超一流へ脱皮する貴重なきっかけとなる。

自らを疑うのは難しい。

多くの人は、自分はつねに正しいという近視眼的なバイアスがかかり、眼鏡が曇っているからである。
自らを見つめ直すために坐禅を組んだり、冷たい滝に打たれたり、荒業をしたりする人もいる。

私はいずれも試したことがないから善し悪しを判定する立場にはないが、もっと簡単な方法がある。

近視眼的バイアスが避けられないときは、気の置けない友人に「私という人間に足りないところ、偏りがあるところはどこだと思う?」と素直に聞いてみるのだ。

「ビールでも奢るから、ちょっと時間をくれよ」と誘い、忌憚ない意見に耳を傾ける。
耳の痛いことを言ってくれるのが、本当の友人である。
そういう友人に恵まれたら、自らを見つめ直す絶好のチャンスが得られる。
友人の愛ある助言が得られて、自分がこれでいいと思っていたことが覆る体験をすると、自らの知識や知恵に対して懐疑的になれる。

批判的な読書と同じような効用が得られ、俯瞰して自らの足りないところを伸ばし、偏りを正そうと謙虚になれたら、血肉となった教養を洞察力として活かせるようになる可能性が高まる。