右図・上をご覧いただきたい。ECサイトの取扱高は、3年で2倍に。加えて、全身のサイズ測定が可能なZOZOSUITによって、顧客の体形にぴったりのプライベートブランド(PB)商品を販売し、3年間で売上高2000億円を目指す――。

 18年4月に発表した同社初の中期経営計画は、極めて野心的なものだった。

 「10年内に時価総額5兆円」「グローバルアパレルTOP10入り」を目指すとも豪語。同月27日のアナリスト説明会でこれを表明した前澤氏は、「(企業理念である)『世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。』が実現した暁には、このくらいいってしかるべき」と自信満々で、その意気込みとして、説明資料の最終ページに「前澤フルコミットで突き抜ける!」という厳かな文言が、実際に記載されている。

PB不発で株価急落
前澤社長は高値で売り抜け

 果たして19年3月期第3四半期、まず、1年目の計画が頓挫した。

 前澤氏自らアイコンとなり、自身のツイッターや、周到に練られたメディアへの露出戦略によって、盛んにプロモーションが打たれたPB事業だったが、1年目の売上高目標200億円に対して、第3四半期での実績は22.6億円。通期でも30億円にとどまる見通しだ。

 これにより、PB事業で125億円の赤字を計上し、通期連結業績が減益となる見通しを発表する事態となった。中計の2、3年目の目標についても、修正は必至とみられている。

 この事実だけをもって「ZOZO失墜」と断じるのは早計ではないか、との声も聞こえてきそうだ。だが、ZOZOをめぐる論点はPB事業だけではない。

「おカネ使っちゃうんで全然ないんですよ。だからノーマネー(笑)」

 18年6月、都内で開かれた証券会社のセルサイド向けスモールミーティングの席上、前澤氏は非常に上機嫌で語ったという。

 これに先立つ5月23日、ZOZOは下図のように、同社の株式の4割弱を保有する前澤氏個人より、約635万株を取得。その価格は、前日の終値である1株当たり3845円から算出した合計約244億円だった。