長年働いて、退職金を3000万円もらった65歳の先輩サラリーマンが、その退職金の運用について、筆者のところに相談に来たとする。彼は、まあまあの年金を見込むことができて、近い将来、生活に困窮することはなさそうだが、慎重な性格だ。

 転職回数多数で半分フリーの筆者は退職金をもらう予定がないので、彼の退職金が少しうらやましいと思いながら、次のようにアドバイスするだろう。

「例えば、95歳まで30年間、毎月5万円貯蓄を取り崩すなら、単純計算で1800万円要ります。毎月、年金プラス5万円で生活するプランを立ててください。この部分は、安全に運用しましょう。銀行に1行1000万円以上のお金は預けないほうがいいので、1000万円を10年満期で利率変動タイプの個人向け国債に、800万円は銀行預金にしましょう。毎月分配型の投資信託を買うよりも、預金を取り崩すほうが多分有利ですし、間違いなく健全です。

 残った1200万円は、内外共に先進国は低金利なので、株式で運用しましょう。TOPIX(東証株価指数)連動の日本株のETF(上場型投信)を600万円、先進国株を300万円、新興国株を300万円、いずれもインデックスファンド(海外ETFも可)で買いましょう。こちらは、おおむねこの比率で長期運用してください」

 本当はリスク資産部分はもっと大きくてもいいが、最悪を考えても、1200万円は妥当だろう。

 以下、この配分について、日本が財政破綻することにしたくて仕方がない雑誌の女性記者と筆者の会話をお伝えする。

記者「将来の日本の国債暴落や、預金封鎖などに備えた運用、注意事項などを教えてください」

山崎「注意事項は財政破綻やインフレになると決めつけて、金投資、外貨建て生命保険、通貨選択型投信、プライベートバンクといった、手数料とリスクの大きな怪しい商売に引っかからないことです」

 (この後、上記の配分を教えた)