スティグリッツ 早稲田大学講義録 グローバリゼーション再考
『スティグリッツ 早稲田大学講義録 グローバリゼーション再考』
藪下史郎、荒木一法 編著
(光文社/2004年)

 リーマンショック以前の世界経済で、多くの信奉者がいたのが“グローバリゼーション神話”だ。人が、物が、そして資本が、世界を自由に移動し、誰もがより豊かになる──という主張は、現在よりもはるかに説得力があった。

 その全盛期(2004年)、超一流の経済学者スティグリッツ氏が行ったグローバリゼーション批判の解説は、今なお高い価値がある。同書で称賛されるマレーシアのマハティール氏が、18年に93歳で大統領に返り咲いたことなども、先見性を示す。

 一方で、「米国だけが豊かになるシステムとしてのグローバリゼーション」という論点は、今日の中国経済の台頭を見ると、再考を要する。あらためて、世界経済の問題点を考えるには、最初の一冊として薦められる。

(明治大学政治経済学部准教授 飯田泰之)