「自分の軸」を見つければ、
人は幸せになれる

写真右から『絶対内定』著者の熊谷智宏さん、『メモの魔力』著者の前田裕二さん、『メモの魔力』担当編集でもある編集者の箕輪厚介さん編集者の箕輪さんは、著書『死ぬこと以外かすり傷(マガジンンハウス刊行)もベストセラーに。

熊谷 でもそうやって体験を積み重ねていって、具体と抽象を行ったり来たりすることによって、はじめて自分だけの軸や価値観を見つけられるんですよね。
就活生たちと接していると、自己分析をやっているうちにどんどん自信がなくなって、やりたいことがわからなくなって、自分の夢ややりたいことを信じられる力を失って、何もできなくなって……という「ネガティブ・スパイラル」に陥ってしまう人が大多数なのです。
そういう意味では、「暗闇で飛べ」「楽しそうだからやってみる」というのは、選択肢の1つとしてはアリだと思うんです。

前田 そうするとまた一つ「ファクト」として書けることが増える、ということですからね。
『メモの魔力』を出版して本当に良かったと思うのは、自分の周りの思考レベルがどんどん上がっている気がする、ということです。応援してくださるファンの方と話していても、「あ、それは抽象化するとこういうことですよね」という言葉が返ってくる。そうやってみんなが当たり前のように抽象化ができるようになってきたら、きっとあらゆる物事に対する理解も深まると思うんです。そうなると僕はまた、さらに一段階高い思考レベルを目指さなければならないから、もっと自分を高めることができる。

箕輪 前田さんはさすがにがんばり過ぎだって。もうそろそろ休憩してもいいでしょ(笑)。

熊谷 でも、そうやって思考レベルが上がると、結果的にその人自身の幸福度も上がるんですよね。
圧倒的に成功して、現状維持でも幸福を感じられるようなステージに行けたらいいかもしれないけど、人間って意外とそんなに器用にできていないような気がする。おそらく人間のほとんどは本質的に「成長したい」という意欲を持っているのだと思うのです。ですから思考レベルが上がっていけば、当然、課題に対する解決策やスキルアップする方法のレベルも上がっていくはず。そういう世界が実現できれば、世の中のみんなが幸せに生きていけると思うんですよね。

箕輪 たしかに、いちばん不幸なのは、「仕事がうまくいかない」とか「忙しい」「給与が低い」こと自体ではなくて、自分の軸や価値観が定まらずグラグラの状態なのにがんばらないといけない、ってことなんですよね。ある程度「これがやりたい」「こういう道に進むんだ」と自分の中で決まってしまえば、どんなに忙しくても給与が少なくても、アドレナリンが出てがんばれることもある。

熊谷 人生の軸とゴールさえ明確になってしまえば、逆境に立ち向かうことは不幸じゃないんですよね。ゴールも何もないまま逆境にいると、当然幸せを感じることはできませんからね。だから、思考レベルをあげて解像度を高めて、人生の軸を定めて、ゴールを明確にしてそこへ向かって走っていく。しかも全力で。そういうのが、きっとこれからの生き方なのではないでしょうか。

前田 本当にそうですね。『メモの魔力』と『絶対内定』を読んで、自分だけの人生の軸を見つけて、一人でも多くの人が幸せになれば、本当にうれしいですね。

※鼎談は今回で終了です