火縄銃もしかすると、1600年代にも日本人が欧州に渡って参戦していたかもしれません(写真はイメージです) Photo:PIXTA

【おとなの漫画評vol.21】
『イサック』
既刊6巻 2019年5月現在
真刈信二(原作)DOUBLE-S(漫画)

日本の鉄砲鍛冶職人が
17世紀の「三十年戦争」に参戦

 大陸欧州を二分して起きた17世紀前半の「三十年戦争」(1620~48年)に傭兵として参戦した日本の鉄砲鍛冶職人、猪左久(いさく=イサック)の物語である。「月刊アフタヌーン」(講談社)で2017年から連載されている。
 
 原作者の真刈信二はハードボイルドなミステリー作品を数多く生み出しているが、本作は西洋史に題材を得て、そこに同時代の日本人鉄砲鍛冶で狙撃手でもある青年を放り込むというユニークなストーリーを展開している。

 単行本第1巻のあとがきで、原作者は大要こう述べている。

・17世紀のヨーロッパを描いた古地図に、長い火縄銃を持った日本人が描かれていた。
・研究書をたくさん読んだが、江戸時代初期には私の想像より多くの日本人が渡航していたことを知った。マニラだけで数百人という記録あり。
・ヨーロッパへ火縄銃の狙撃手が渡航していたこともありうると考えた。

 このような連想をもとに、日本人狙撃手が「三十年戦争」のプロテスタント側に傭兵として参戦するという物語を紡いでいく。イサックは単なる傭兵ではなく、鉄砲鍛冶の師匠の敵討ちのために遠くヨーロッパへやってきたという。その敵は「ロレンツォ」と名乗ってカトリックのスペイン軍に参戦している。

 連載第1回の冒頭で、作者はいきなり戦乱の地に読者を連れ込み、時間と空間を明確にしている。