期待を胸に就職して2ヵ月。早くも「この会社違うかも?」と思う新社会人も少なからずいるのではないだろうか。仕事を続けるにしても辞めるにしても、後悔のない選択をするためにはどうすればいいのか、先人たちの教えから考え方のヒントを探ってみた。(文/友清 哲)

転職をキャリアアップの手段として有効活用するには

 「5月病」はもう古いのだそうで、こと社会人に関していえば、最近の潮流は「6月病」らしい。

 いずれにしても、環境の変化や新たな人間関係に疲弊し、適応障害を起こしてしまうというのがそのからくりだが、5月でギブアップしようが6月まで耐えようが、当人としては大差のないことだろう。

 新社会人がこうした状態に陥ると、まず脳裏をよぎるのは「仕事を続けるべきか否か」という二択であり、次に行き当たるのが「辞めたとして、今後のキャリアをどうすればいいのか」、「ここでドロップアウトすると、人生お先真っ暗なのではないか」といった現実的な問題だろう。結果、どうしていいのかわからず、メンタルをすり減らしていくことになる。

 つまりキャリア初期に壁にぶつかることの怖さは、就職によって一度は得たはずの人生の道標を失い、精神面で路頭に迷ってしまうことなのだろう。

 しかし、終身雇用も今は昔。入社早々に会社を辞めるケースも、さほど珍しいことではなくなった。

 転職が即ち悪であるという考え方が完全に絶滅したわけではないが、それでもキャリアアップのための有効な選択肢として、戦略的なジョブチェンジは支持されている。昨年、北野唯我『転職の思考法』(ダイヤモンド社)が大きな反響を呼んだことも、そうした風潮を裏付けているのではないか。

 なにしろ同書の副題は「このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む」である。

 青野という会社員を主人公とした物語形式で展開されるのが特徴で、転職にあたって誰もが思い違いをしている根本的な思考回路を解きほぐし、キャリア設計のために必要な判断軸を提示。

 わかりやすくいえば、転職にあたって重要なのは魅力的な求人を見つけることではなく、自身のバリューを的確に測り、その上で働くべき業種、企業をある程度の長期的視野に立って判断すべきであるということだ。

 今働いている会社、目の前の上司を見ながら働いていては、どれだけ年月を重ねても本当の意味で有用な人材になることはできない。自身が持つ技術資産、人的資産を見極めた上で、見据えるべきはマーケットであるというのが著者の提言。

 そのために必要な、自分のマーケットバリューを図る具体的手法をわかりやすく理論展開していることから、同書は現代のビジネスパーソンの胸を撃ち抜いた。一読すれば、将来に向けたもやもやとした感情が、払拭されるに違いない。

効果的に“個”を磨くことで、戦える人材が出来上がる

 ただし、著者・北野唯我は闇雲に転職や独立を勧めているわけではない。大切なのは転職先を吟味することではなく、いつでも転職できる自分を作ることであるというのが、最大のメッセージだ。

 こうなると、ただ漫然と目先の業務をこなすのではなく、働きながらいかに個人の能力をブラッシュアップしていくかが何よりも重要ということになる。

 そこで大切なのは、100人に1人のレアな人材になることだと説いているのが、『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』(東洋経済新報社)だ。

 ビジネスパーソンは今後、ひと握りの優れた人材とその他大勢への二極化が進むというのは、著者が長年に渡って発信してきた予測だが、すでにその傾向を感じている人も多いだろう。

 では、「100分の1」の人材になるためにはどうすればいいか? 本書ではまず、パチンコ、電車内でのスマホゲームをやめ、月に1冊以上の読書習慣を持つことで、ひとまず「8分の1」の人材になれると解説している。

 初期ハードルを低めに設定することで自己実現への意欲を煽り、最終的には何らかの分野において1万時間を費やす準備を進めるのが、著者が提唱するメソッドだ。元教育者の著者らしい、実用的なロジックであることがおわかりいただけるだろう。