私は、何をやったらいいですか?
「AかBかの話」以外にも、たとえば、「『好き』をやってみよう」と話したときにも、頻度高く遭遇するシーンがあります。
「『好き』をやってみよう」と言うと、「何をするのがおススメですか?」と質問をしてくる人がいるのです。
聞いてしまう気持ちも、分からないでもありません。
でも、質問の仕方というか、話している会話の感じから、「教えて欲しいっ! 聞きたいっ!」という熱量を感じとることは難しく、「とりあえず」おススメがあれば教えて欲しい、というようなニュアンスを受けてしまうのです。
そんなとき、「おススメしたら、ホントにやってくれるのかな?」というような素朴な疑問が頭をよぎります。
「私のとりあえずのおススメ」より、「本人が日常のなかで感じたなんとなくの興味」の方が、よっぽど当人の的を射ていると思います。
他人のおススメより、自分のなんとなくの感じを信じ、気持ちに従って動いてみて、動いた結果と向き合って、そのあとどうするかを決める方が断然おススメですし、自分でも、後々、後悔しないのではないでしょうか。
また、「『好き』をやってみよう」と言うと、なぜか、「起業しなければ」と話が一気に飛躍し、「ならば、会社を辞めなければ」「会社を立ち上げなければ」「食べていけるかなぁ」と心理的にも金銭的にも高いハードルを設定してしまう人がいます。
いきなり「会社を続けるか、起業するか」の二者択一で考えるのではなく、「会社を続けながら、好きなことを探す」というグラデーションがあってもいいし、その方が回り道に見えて、本気でやりたかったことが分かる近道だったりするかもしれません。
また、そうしていく中で未来の仕事のパートナーが見つかるかも知れません。
グラデーションの中に、次の一手につながる大事な縁が潜んでいるかもしれないのです。
AかBではなく、A&Bという歩みも考えてみませんか。
【五歩目】 自分で考えた、自分の一歩を踏みだそう。
1969年生まれ。明治学院大学卒。1992年にミスミ(現ミスミグループ本社)に入社後、新市場開発室で新規事業の開発に従事。メディカル、フード、オフィスの3分野への参入を提案後、自らは、メディカル事業の立上げに従事。2002年に新規事業の専門会社、エムアウトをミスミ創業オーナーの田口弘氏とともに創業、複数の事業の立上げおよび売却を実施。2010年に守屋実事務所を設立。設立前および設立間もないベンチャーを主な対象に、新規事業創出の専門家として活動。自ら投資を実行、役員に就任、事業責任を負うスタイルを基本とする。2018年4月に介護業界に特化したマッチングプラットホームのブティックスを、5月に印刷・物流・広告のシェアリングプラットホームのラクスルを2社連続で上場に導く。