フレームワーク30 DAY9 5F

 企業利益は競争環境によって決まる。競争によって阻害されている。では、その競争状態を決めるものは何なのか。マイケル・E・ポーターがたどり着いたフレームワークが「5F(5つの力)」だった。

「5F」は(1)「同業他社との競争」、(2)「新規参入業者の脅威」、(3)「代替品の脅威」、(4)「買い手(顧客、販売先)の交渉力」、(5)「売り手(供給業者、仕入れ先)の交渉力」だ。

(1)の「同業他社との競争」は最も分かりやすい。まさに目の前で繰り広げられている。ただし、競争の相手はそれだけではない。

 その筆頭は(2)の「新規参入業者の脅威」だ。脅威の程度を決めるのは、新規参入が容易かどうか、要は参入障壁があるかどうかだ。

 ポーターは『競争の戦略』の中で「参入障壁となるものは主に七つある」とし、「規模の経済性」「製品差別化」「巨額の投資」「仕入れ先を変えるコスト」「流通チャネルの確保」「規模とは無関係なコスト面での不利」「政府の政策」を挙げる。

 このうち「仕入れ先を変えるコスト」は、病院で医者が慣れ親しんだ医療機器のスイッチングコストをイメージすればいい。簡単には切り替えられない。

 「規模とは無関係なコスト面での不利」として、ポーターは独占的な技術・ノウハウ、資源など原材料の供給源の独占、恵まれた立地、政府の助成金などを例示している。

 (3)の「代替品の脅威」もかなり重要だ。ライバルは同じ商品カテゴリーにいるとは限らない。音楽プレーヤーやデジタルカメラにとってのスマートフォンのように、異なるカテゴリーの商品が代替してしまうケースは多い。初期対応を怠ると、意外なライバルの出現で痛い目に遭う。

 (4)は「買い手(顧客)の交渉力」だ。取引条件や価格の決定力を握られると、パイの奪い合いで明らかに劣勢に立たされる。

 (5)の「売り手(供給業者)の交渉力」も、材料、部品、商品などの希少性が高ければ、需要と供給のバランスによって、売り手に主導権を握られることになる。

 こうした5Fの枠組みを現場で使いこなすために、次の「5つのステップ」が提唱されている。

(1)市場定義
(2)事実の記載
(3)脅威レベルの解釈
(4)業界構造把握
(5)今後の戦略立案

 最も大事なのは、(1)の市場の定義。市場の範囲が広過ぎると分析の焦点もぶれてしまう。(2)の事実の記載では、可能な限り定量化することが大事になる。

 より詳しくは『ストーリーで学ぶ戦略思考入門』(グロービス経営大学院著、荒木博行執筆)などを参照していただきたい。

(週刊ダイヤモンド2017年8月5号「ロジカルシンキング&問題解決法」を基に再編集)