全部書き出してから絞りこむ

 やることリスト問題の僕なりの解決策は、やるべきことを「選ぶこと」と、それを「実行すること」を分離するという方法だ。これを「やるかもしれないリスト」と名づけた。読んで字のごとく、やるかもしれないことのリストだ。

 まずは、やるかもしれないこと、つまりやるべきことやできることをすべてリストに書き出す。それから「ハイライト」を選んで、実行するタイミングを予定表に書き入れるという方法だ。

天才デザイナーが生んだ「やるかもしれないリスト」が超すごい理由

 計画をきちんと立てないと、いちばん楽な道を選びがちになる。でも「やるかもしれないリスト」から重要なタスクを抜き出し、それを1日のハイライトに決定し、予定表に書き入れれば、自分の時間の使い方に関して思慮深い決定を下したと満足しながら、目の前のタスクに全力投球できる。

「やるかもしれないリスト」を使うと、仕事や生活の「やること地獄」から抜け出せる。

 妻と僕は2012年に最初のヨットを買い、2016年にそれを売って別のヨットに買い換えた。そして売買のたび、大きなプロジェクトに取り組むことになった。ヨットの整備には、簡単なこと(タオルのフックをとりつけるなど)から大変なこと(水を安全に飲めるようにするために配管を消毒するなど)まで、文字どおり数百もの「やること」があるのだ。もし、やることリストをそのまま実行に移そうとしていたら、途方に暮れていたに違いない

 僕らは代わりに「やるかもしれないリスト」を使って秩序(と正気!)を保ち、楽なタスクだけで時間を無駄にしてしまうことなく、大事なタスクのために時間をつくることができた。具体的にどうやったかを説明しよう。

 まずは、ヨット仕事の前日に、2人で「やるかもしれないリスト」を見ながら、できることすべてについて話し合った。そして、当日にやりたい最も大事な仕事(=本書でいう「ハイライト」)を選ぶ。それから、所要時間をできるだけ正確に見積もり、予定表に書き込んだ。

 その時間が来たら、道具とコーヒー、1日の計画表を持って、ヨットで落ち合って作業に取り組んだ。おかげで深い満足感と達成感を味わいながら、1日1日を終えることができた。

(本原稿は、『時間術大全――人生が本当に変わる「87の時間ワザ」』〈ジェイク・ナップ、ジョン・ゼラツキー著、櫻井祐子訳、ダイヤモンド社〉からの抜粋です)