一生雇用される保証がなくなった時代には、
「仕事のプロ」を目指すほうがいい
これまで、多くの人が「会社のプロ」として、出世競争に巻き込まれたり、歯車の一つに過ぎないと思って落胆したりしても、それでもやってこれたのは、「会社が自分の面倒を一生見てくれる」という心理的なセイフティネットを提供してくれていたからです。
終身雇用という保証された人生を、疑うことなく信じることができたからです。
しかし、もうすでに、そしてこれからはますます、その「保証」は崩れ去ろうとしています。「保証」がないのですから、そろそろ「仕事のプロ」へシフトするしかないのです。
もちろん、「仕事のプロ」になるためには意識と行動の変革が必須です。
「仕事のプロ」として勝負するなら、たとえば、自分が広報に興味があるなら「本当に」広報のプロとしてやっていきたいのか、まずは自問自答するところから始めましょう。
入社の偶然、配属の偶然、人間関係の偶然、あらゆる偶然のなかで、ラッキーにもすぐにストンと自分のなかで「何のプロになりたいか」が腑に落ちればいいです。
でも、多くの場合、自問自答しても答えが見つからずに、右へ左へと迷い始めるのではないでしょうか?
そして、迷いすぎると迷いが固定化し、決めて進むよりは決めずに右へ左へと迷っている方がラクになってしまうのです。
これが怖い。
そうならないためにも、何のプロとして歩むのか、自分で納得して肚落ちさせることが肝心です。
そして、本当に「これでやっていきたい!」という結論が出たなら、会社のなかで任されている「これ」の仕事はもちろん、業務時間外でも、「これ」のプロになるべく貪欲にスキルアップを図っていく必要があります。
「会社のプロ」は、その会社にいればどうにかなってきましたが、「仕事のプロ」としてやっていきたいなら、その会社にいるだけではどうにもならない壁に必ずぶつかります。
その会社にいても、会社主導ではなく自分主導で考え、行動し続ける意志を持つことが重要です。
「仕事のプロ」であるということは、これまでの古い仕組みやしがらみから卒業し、個々の実力で勝負することを意味します。
生やさしい働き方ではないかもしれませんが、よりやりたいことを存分にできるチャンスが広がるというプラスの見方もできます。
これが、これからの時代にマッチした新しい働き方であり、私が思う「働き方2.0」なのです。
【10歩目】 「仕事のプロになる」へと舵をきる。
1969年生まれ。明治学院大学卒。1992年にミスミ(現ミスミグループ本社)に入社後、新市場開発室で新規事業の開発に従事。メディカル、フード、オフィスの3分野への参入を提案後、自らは、メディカル事業の立上げに従事。2002年に新規事業の専門会社、エムアウトをミスミ創業オーナーの田口弘氏とともに創業、複数の事業の立上げおよび売却を実施。2010年に守屋実事務所を設立。設立前および設立間もないベンチャーを主な対象に、新規事業創出の専門家として活動。自ら投資を実行、役員に就任、事業責任を負うスタイルを基本とする。2018年4月に介護業界に特化したマッチングプラットホームのブティックスを、5月に印刷・物流・広告のシェアリングプラットホームのラクスルを2社連続で上場に導く。