これらの違法行為に対しては、同社の「コスメ・化粧品の取引ガイドライン」にて、「小分け販売」「個人的に輸入した化粧品類」「法的許認可のない手作りコスメ」などについて禁止出品物として明記し、かつ「365日24時間体制で当社の利用規約に違反する商品の自動検知システム及びカスタマーサービスの目視により、出品や取引を常時監視し、出品禁止物の排除に努めている」(同社広報部)と改善に取り組んでいる。

 現状について管轄省庁の厚労省も憂慮しており、複数回にわたって同社に改善を要請。昨年6月にはメルカリと東京都は薬機法違反に関して連絡会を立ち上げるなど、同社は国や自治体との連携も強めている。

 管轄となる厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課の担当者は「違法な出品物は発見次第すぐに対応してもらっている。ただ我々も毎日すべて確認できるわけではない」と出品数の多さに苦慮しているようだ。

 ただ、実のところ、メルカリには出品を削除する義務はない。

 たしかに、違法口座の売買が行われたサイトの管理者が摘発された事例もある。だが、それは「犯罪収益移転防止法」にてサイト管理者も処罰の対象とされていることが理由だ。

 薬機法の場合、違法出品物をサイト上で取引した場合でも、場を提供したフリマアプリなどのプラットフォーム事業者(プラットフォーマー)側が行政罰を受けるという法律は存在しないのだ。

「メイク美容」の売上高は6%
メルカリが恐れる企業イメージ低下

 しかし、メルカリとして放置もできない事情がある。

 まず、プラットフォーマーの法的責任という意味では、民事責任には問われる可能性がある。

「過去の判例上、出品物について注意喚起や出品者の情報開示・信頼評価システムをなんら導入していないような場合、出品物を購入して被害を受けた買い手から損害賠償請求がなされる可能性は十分ある」とITビジネスに詳しい植松貴史弁護士は話す。

 とはいえ、米国で認められている懲罰的賠償や集団訴訟が認められない日本では、他国と比べれば、大した金額にはならない。また、メルカリも判例のガイドラインに関しては対策済みだ。

 むしろ、プラットフォーマーの懸念は、「違法品が販売されている」ことで企業イメージを毀損することによるレピュテーションリスクのほうだろう。