このデータを見ると、「座学のみ」では、やはり学生を引きつけるような体験はあまり提供できていない。「特別プロジェクト系」は、優秀な学生との交流機会を、「仕事体験系」は、具体的な仕事内容の理解を促進していることがわかる。

 目立つのは、「キャリア支援系」が多くの要素について高い数値となっていることだ。「就職活動の支援」はもちろん、「社員・学生の優秀さ」への認知も促進しており、志望度を向上させる効果が高いことがうかがえる。キャリアや就活のサポートをインターンで実施している企業はまだ少数だが、情報過多なインターネット時代において、何らかの「指針」や「就活のやり方」を教えてくれるタイプのインターンは、結果的にその企業へのファン作りに貢献しているようだ。

 このように、インターンのタイプで学生へ与える印象や体験は大きく異なる。さらに、タイプによって集まる学生の傾向が異なるのも事実だ。例えば、データを見ると、「特別プロジェクト系」には偏差値が高めの学生が、「キャリア支援系」は、大学偏差値としてはやや低めだが、学内の成績は良好な学生が参加している。企業は、自社が求める人材像とそれぞれのインターンの特徴に合わせて、複数タイプを組み合わせることが肝要だろう。

「インターン・ブランド」の構築が
採用の成否を分ける時代へ

 人手不足と人材情報メディアの隆盛を背景に、企業は「求人ブランド」を強く意識する時代になった。人事制度や報酬・働きやすさなど、以前であれば社内で流通していれば事足りた情報を、多様なメディアを通じて積極的に外にアピールし、求人における魅力的なブランドを構築しようとしている。中長期的に「人が集まる企業」になるための他社との差別化の重要性は増し続けている。今回のデータが示すのは、より細分化された「インターンシップ・ブランド」とも呼べる、企業のインターンでの求心力が試される時代に入ったということだ。

 既に多くの参加者が集まるインターンとそうでないインターンは分かれ、中小企業を中心に、インターンを実施しても十分な応募がこない企業は数多くある。今回のデータから見えた情報交換の輪が、「後輩」や「先輩」と年次をまたいで連なる「蓄積型」の構造をしていることを考えれば、今後も各社のこうした求心力の格差は年々広がっていく。「あの企業は、よいインターンを毎年やっている」「先輩が、あそこのインターンは役に立つと言っていた」というインターンにまつわるブランド力が試されている。

 昨年からは、優れたインターンを表彰する民間のアワードも開催され始めたが、日本企業を概観しても、まだそうした「シェア」や「共有」を企業サイドから仕掛けていく発想は乏しい。既に欧米圏では、SNSでインフルエンサーとなっている著名な大学生を集め、企業インターンの一環として、企業のマーケティング活動のためにSNSの運用をしてもらうような企業も出てきている。消費者向けブランディングと求人ブランディングの合わせ技で、企業の魅力を広く発信する方法だ。

 急速に発展する「日本型インターンシップ」は、人手不足に苦しむ企業の今後を占う試金石として、重要性を増していくことは疑いない。

(パーソル総合研究所 主任研究員 小林祐児)