第三は、個人がより大きな組織を動かす場合にも役立ちます。
  フリーエージェントの立場で、大企業のプロジェクトマネジャーになる場合などがこのケースに該当します。
  より大きな組織を動かすためには、組織人である彼らを説得するのに必要な思考のフレームワークが必要になるので、やはりマーケティング・リテラシーを高めておく必要があるのです。

マスマーケティングとダイレクトマーケティングの高度な統合

  マーケティング・リテラシーは、マーケティング全般に対するリテラシーなので、そこにはマスも、ダイレクトも、すべての概念が含まれます。
  ただ、インターネット情報のインフラがほぼでき上がった現段階では、ダイレクトで顧客と接することができる時代になったため、マーケティングはマスではなく、ダイレクトが主流になってきます。
  その想いもこめて、今回の書籍タイトルは、『ザ・マーケティング』となりました。

  これからの時代、マーケティング・リテラシーを高めるということは、ダイレクトマーケティングに対する理解を深めることと、イコールになります。
「ダイレクトマーケティングを知らない? それではお話にならないね」と言われるようになる時代に入ってきているのです。

  大組織のなかでも、そこに気づいているところはいくつもあります。
  たとえばソフトバンク。テレビCMでは、あの「お父さん(犬)広告」を展開して、サービスの認知度を高めるようなことばかりやっているように見えるのですが、決してそれだけではありません。

  現場のセールス部隊では、「iPhone緊急入荷しました!」というPOP広告などを掲げて、非常に泥臭く、顧客一人ひとりに商品を販売する営業を同時並行的に展開していたのです。
  つまり、認知度を上げるというマスマーケティングの手法と、来店した見込客をきちっとクロージングまで持っていくというダイレクトマーケティングの手法を高度に統合したことが、あの販促キャンペーンの真骨頂でもあります。