一方、16年の国民投票時には残留派だったハント氏は、EUと再交渉し、妥結のために必要であれば離脱期限の再延期も視野に入れている。
英国のサーベーション社の22日付けの17年の選挙で保守党に投票した人を対象にした世論調査の結果を見ると、ジョンソン氏の支持率が45%、ハント氏が同36%とジョンソン氏がリードしている。ただ、2日前の世論調査結果と比べてジョンソン氏の支持率は10%低下し、ハント氏は6%上昇した。現時点ではジョンソン氏がリードしているが、足下の動きをみるとハント氏が追い上げている。
新首相に残された時間はわずか
両氏のどちらが保守党党首になるにせよ、首相に就任するのは7月24日の党首選後だ。
新首相就任までは、ブレグジット関連の議会での協議は進まない。それでは、その後、新首相は、EU離脱にむけて議会の合意をとりつけることができるのか。
実は、そもそも新首相就任後、議会がブレグジットの問題を審議する時間は多くない。
就任後7月25日からは、議会が夏休みに入ってしまうため、9月3日までは議会は開かれない。そして、9月4日に再開したあとは、13日までで再び休みに入る。これは主要政党の党大会が開催されるため。自由民主党、労働党、保守党の大会が開かれ、議会が再開するのは、10月9日である。
離脱の期限は、10月31日だ。英国の議会は通常、月曜日から木曜日まで開かれる。通常のペースの場合、新首相就任後、10月31日までに議会の稼働日は20日しかない。もちろん、政府と議会が事態の非常性に鑑み、夏休み返上など臨時で審議をする可能性はないわけではない。
ジョンソン氏が首相になった場合は、その可能性は低いだろう。合意なき離脱も厭わない。EUとの交渉において、議会の合意がとれないまま合意なき離脱となってしまう状態であることを逆手にとって望み、譲歩を引き出そうとする可能性が高い。加えて、議会が協議する内容を決めるのは政府である。議会の通常のスケジュールを変更してまで、離脱協定案の審議をするとは考えにくい。
ハント氏が首相に就任した場合も、メイ首相の下での離脱案以上に強硬な案が出てくるとは考えられない。EUは離脱協定の再交渉には応じないという姿勢を変えていないからだ。議会の構成が変わっていない以上、合意を得るのは難しいだろう。