次に、「施設利用」(利用契約等)を見てみると、実質的に生計困難者が対象である場合には、「無料低額宿泊事業」となる。これは当然と言えば当然かもしれない。むしろ再考する必要があるとすれば、「施設」そのものの存在の是非だ。

 最も問題があるのは、右側の「住居貸付(又は施設利用)と併せて、その他のサービスを提供」というものだ。生活保護で暮らす人々を含め、生計困難者が主対象となっている場合には、この区分に含まれる。

心ある大家さんまでもが
「無低」として規制される現実

 稲葉剛氏(一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事)は、各地のNPOが運営している借り上げ住宅、東京都が2019年度から本格実施する「支援付地域生活移行事業」、国土交通省の進める「セーフティネット住宅」の一部が「無料低額宿泊事業」として規制される可能性、さらにはホームレス状態の人々や生活保護で暮らす人々を積極的に受け入れている心ある大家さんまでが、「無料低額宿泊事業」を営んでいるものとして、規制される可能性を危惧する。

 稲葉氏は、生活困窮者に対して、まずは普通の住まいを提供する「ハウジング・ファースト」に取り組んできた。今回の省令案がそのまま成立してしまうと、「ハウジング・ファースト」をはじめとする民間や非営利セクターの取り組みは、壊滅させれられてしまうかもしれない。

 ちなみに、東京都福祉保健局生活福祉部保護課に直接問い合わせて示された見解は、本省令案については「住居の用に供するための施設を設置して社会福祉法第2条第3項第8号の事業を開始する場合の設備・運営の最低基準を定めたもの」、つまり「無料低額宿泊所とみなしうる施設の設備・運営の最低基準」ということだ。

 気になるのは、その無料低額宿泊所の範囲なのだが、省令第2条で「具体的に示されている」いうことだ。その具体的な示し方が問題なのだが、「法施行後、届出件数の規模がどの程度になるか現時点では不明」ということだ。つまり、本記事で示す懸念に対する「心配には及ばない」という回答ではない。