教員採用試験が本格化。本記事では、元NHKアナウンサーで、現在7刷3万8000部超のベストセラー『全試験対応!直前でも一発合格! 落とされない小論文』の著者、「ウェブ小論文塾」代表・今道琢也氏が、教採試験に頻出する「キーワードの定義」についてお伝えします。(構成:編集部 今野良介)

単語の意味を正確に理解しておく

教員採用試験の小論文で最近よく出題されるキーワードとして「自己肯定感」「自己有用感」があります。日本の子どもたちは諸外国の子どもに比べて「自己肯定感」「自己有用感」が低い、ということが背景にあるようです。試験の問題では「教員として子どもたちの自己肯定感、自己有用感をどう育むか?」といった聞き方をされます。

合格答案を書くためには、それぞれの言葉の意味を正確に理解しておきたいですが、あなたは、この2つの言葉の意味がどう違うか、説明できるでしょうか?

自己肯定感とは、自分を肯定する気持ちです。自分の長所、短所どちらも受け入れて、「自分は自分でいいのだ。自分のままで存在する価値があるのだ」と肯定できる気持ちです。

 

「自己肯定感」と「自己有用感」はどう違うか?「自分のままで存在する価値がある」と思えるのが自己肯定感

 

一方、自己有用感とは、「有用」とあるように、自分が人の役に立っているという気持ちです。そのことによって、自らに存在価値を感じることです。「私は自分の役に立った」という表現は、文学や詩的表現以外ではまずありえませんから、「私はクラスの中で役に立てている」「部活メンバーの中で役に立てている」など、他者との関係の中で感じられるものが自己有用感です。

以上を踏まえると、「子どもたちの自己肯定感をどう育むか?」という出題であれば、たとえば「その子の良いところを見つけて褒める」などということが考えられます。

一方「自己有用感をどう高めるか?」という出題であれば、たとえば、クラスの中で係の仕事を担当してもらって「あなたがこの仕事をやってくれるから、みんなとても助かっている」と声を掛けるなどということが考えられます。

同じ「褒める」にしても、その子の個性や存在自体に着目するのか、その子が誰かの役に立っている存在であることに着目するのか、そこに違いが生まれるわけです。

このように、教員採用試験では、出題のキーワードとなる言葉の意味を正確に理解すること、言葉の定義を正確に理解しておくことが大事です。

『落とされない小論文』では、18の頻出テーマの対策や、教員採用試験で活用できる、小論文試験に一発合格する必要最低限の情報を凝縮して伝えています。

ぜひ、直前対策に、そして基礎力の養成に使い倒してください。