北越にとっての「最悪のシナリオ」は、もはや宿敵ともいえる業界4位の大王製紙に株を奪われることだろう。

 製紙業界は王子の北越に対するTOBの他にも、下図の通り再編争いが絶えない。その一つとして数年前、北越は大王と、紙市場の縮小で単独での生き残りが難しくなった業界6位の三菱製紙との統合を争った過去がある(図版参照)。

 結局、二股をかけた形となった三菱製紙はどちらとの恋も実らせることなく、王子に熱烈にアプローチして今年、王子の傘下入りを果たした。だが、北越と大王の遺恨だけは残り、いまや裁判で争うほど不仲が極まっている。

 そもそも両社の因縁は深い。北越は、井川意高・大王会長(当時)がカジノの軍資金として子会社から総額106億円超を借り入れしたのを機に勃発した大王本体と創業家のトラブルを仲裁し、12年に大王株を大量取得して同社の筆頭株主となっている。

 ところが15年、大王が転換社債の発行を決議したことで株価が下落。北越は損失を被ったとして大王の取締役らに約88億円の損害賠償を求めていたのだ。