売れっ子YouTuberには勝てない?

  質より量というお話をすると、必ずこう聞かれます。

「それでは売れっ子YouTuberのAさんには勝てないのでは?」

  残念ながら、そのとおりです。売れっ子YouTuberにはまず勝てません。
  インフルエンサーの話を連載第2回でしましたが、これから動画を始める人たちは、すでに「後発クリエイター」であることが決まっています。
  スタート時点で大きな差がついているのです。

  みなさんには出端をくじくような話ですが、動画業界は基本的に先発優位なので、新規参入者が後から追いつくのは容易ではありません。同じようなことをして追いつくことはまず不可能とさえ言えます。この「不都合な真実」を押さえておくことは、拡散を考える上でとても重要です。

新しい「流行」が
チャンスに

「絶対勝てないのなら、やる意味などないのでは?」

  そう落胆するのは早計です。
  ご安心ください。後発参入のBさんが売れっ子YouTuberのAさんに勝てる方法は残されています。
  新しい「流行」が出てきたときがチャンスです。

  例えば、新しい「C」というゲームが発売され、それが流行になりつつあるという場合。「C」に関する動画やゲーム中継などのライブ配信をおこない、どんどんストックを積み上げることで、「C」というゲームに関してはAさんに勝てる可能性が生まれます。

  Aさんは既存ユーザーの期待にも応えるために「C」というゲームばかりを取り上げるわけにもいかないので、「C」に集中できません。一方のBさんは既存ユーザーを気にする必要がないため、1つのトピックに集中できるという強みもあります。新しいトピックの「積み木」を、どんどん積み上げることができるのです。

  後からAさんが「C」についての動画を上げたとしても、それは、Bさんにとって脅威ではなく、新たなチャンスとなります。

  Aさんの動画の「関連動画」としてBさんの動画が表示されれば、Aさんの視聴者が見に来る可能性があるからです。すでに多くのファンをもつAさんの動画からの「動線」ができれば、Bさんの動画へのアクセス数は加速度的に増えていくことでしょう。

  このように、後発のクリエイターが成功したいのであれば、先発のクリエイターが手を出しにくい新しい流行に乗ってみることです。そうすれば、そのジャンルにおいては、自分が先発優位を獲得できます。

  まだだれも手をつけていないジャンルだからといって、まったく人々の関心を呼ばないマニアックすぎるものではなく(これも時々爆発的に支持を得ることがあるので、ダメとは言い切れませんが)、「新しい流行にいち早く」がカギです。

  このように、拡散のスピードを上げるという意味でも、「量」は有効であり、重視すべきなのです。

※次回は、動画・ライブ配信を取り巻く環境の変化についてお伝えします。