利益重視路線に
大きく舵(かじ)を切る日産だが…

 北米以外の日産の手持ちカードは欧州、日本、中国。

 まずは欧州だが、今日、欧州では過度なCO2規制によって自動車産業が散々痛めつけられている。ブレグジットの影響でイギリス工場が宙に浮きそうな日産としては、環境対応などでお金がかかるばかりでさっぱりもうからない欧州は、新興国のダットサンと同じくらいやめたいところであろう。そろばん勘定的にはそうするのが妥当でもある。

 だが、日本やアジアで売るのに適したクルマということになると、欧州モデルのほうが北米モデルよりはずっと適しているのも事実。日産は日本勢としてはトヨタに次ぐシェアを有しており、ホンダやマツダに大差をつけている。単体ではもうからずとも、他市場とのシナジー効果やブランドイメージ作りの有効性を考えると、あえて欧州を基点に戦略を組むメリットもなくはない。

 次は日本。日本向けに作ったクルマは欧州向けモデルほどではないが、アジア生産モデルに比べるとコストが高いというデメリットはある。それでも、東南アジアの道路事情や気候、風土への適合性は非常に高い。

 近年の日産の日本市場軽視ははなはだしく、モデルの老朽化が進んでしまっている。西川社長が日本市場にてこ入れをするかどうかは未知数だが、どの道アジアではこれまでも販売不振であったのだから、日本を起点に日産はアジアでいうところの上級モデルを主体とするブランドとして再チャレンジするのもありだろう。

 そして中国。ASEANに向くコンパクトサイズのクルマがあり、価格もある程度抑えられるというメリットがある。ただ、日本や欧州に目を移すと、メーカー各社が中国をメインターゲットに作ったモデルを売っても、それが中国製でなかったとしてもほとんどろくな結果を得られていない。世界への広がりを持ちにくいという点ではアメリカと同じだ。

 台数を追わず、利益重視路線に大きく舵を切る日産。だが、競争激化の中でその戦略を成就させるには、相当の困難が予想される。西川社長のリーダーシップに期待がかかるところである。