商品部から送られる販促情報を積極的に活用
現場からの支援で細かな情報も拾い上げる

——出版社からすると、くまざわ書店は本部の商品部と各店舗の連携が徹底されているように感じます。いかがでしょうか?

山本 商品部から毎日販促情報が送られてきて、各店舗はそれを参考にしています。どうしても自分がいる店舗の業務で手一杯になってしまうので、それをサポートしてくれる情報はとてもありがたいです。

 また、商品部からは、販促情報だけではなく他店舗の情報も送られてきます。もちろん自分で調べることもできますが、自分の店の売上も調べてさらに他店の売上も、というのは実際のところなかなか難しい。商品部が全体を見て、とくに重要な店舗の販売状況を発信してくれるのは助かっています。

——商品部はそれほど売上が大きくないお店にも目を向けているのでしょうか?

山本 各エリアに担当のマネージャーがいてカバーしています。松戸にいたときのマネージャーは、時間を見つけては担当店舗の状況を視察しに行くと言っていました。マネージャーは管理業務だけでなく商品知識を持っていないといけないため、私が出勤する前にはすでにお店にいて、入荷商品の確認と品出しをしたあと、終わったらすぐ他店を訪問していたこともあります。

——はじめからこの仕入方法で上手くいっていましたか? また、商品部から送られてくる情報の精度についてはいかがでしょうか?

山本 この方法がはじまってからどれくらい経つのかはわかりませんが、私が中途で入社した4年前の時点では、入社したばかりで仕事に慣れていないこともあり、送られてくる大量の情報に「対応できないよー」と思うこともありました(笑)。最近は、商品部の判断で整理してくれた、本当に必要な情報が届くようになったのでとてもありがたいです。

——全国に店舗があるなか、商品部だけで細かい情報も集めているのでしょうか?

山本 色々な地域に出店している各店舗の店長が、商品部に情報を伝えています。これはあくまで自主的なもので、実際に情報を送るかどうかも商品部がその都度判断しますが、全国の状況を把握できるのは嬉しいです。

——そのようなシステムを活用して、大手町店から全国の店舗に広がったビジネス書はありますか?

山本 残念ながら、大手町店で売れる商品はあまり他店舗に広がらないんですよ(笑)。大手町の売上データを見て仕入れてくれている店舗があるのは知っていますが、ぼちぼちで止まってしまう。大手町店“だから”売れる商品が多いのだと思います。逆のケースはありますが、それもビジネス書ではなく実用書です。