論文の共著者で同大学Evelyn F. McKnight脳研究所のTatjana Rundek氏は、同誌のニュースリリースの中で、「一般には、加齢に伴い、大脳皮質は10年当たり0.01~0.10mm薄くなるとされる。しかし、われわれの研究からは、中年期から初老期に過体重や肥満であると脳の老化が加速し、10年以上も老化が早まる可能性が示唆された」と述べている。
ただし、この研究は過体重が大脳皮質の菲薄化の原因であることを証明するものではなく、これらの関連がみられた理由も明らかになっていない。しかし、Caunca氏は「肥満がもたらす慢性的な炎症状態が脳の健康に悪い影響を与えている可能性がある」と指摘。加えて、「肥満によるインスリン抵抗性などの代謝面での変化が、大脳皮質における代謝低下を引き起こしているとも考えられる」との見方を示している。
一方、今回の研究には関与していない米マウントサイナイ医科大学アルツハイマー病研究センターのMary Sano氏は、「大脳皮質が薄くなったからといって必ずしも認知症になるわけではないが、大脳皮質の菲薄化は認知機能の低下と関連する可能性がある」と述べている。
その上で、「体重の増加が認知症の直接的な原因であるのか、あるいは認知機能の低下をもたらすだけなのかは不明だが、いずれも重要であることに変わりはない」と話している。(HealthDay News 2019年7月24日)
Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.