スーパーゼネコン社長の「伝統」&「新」条件
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 2018年1月、国内ゼネコン最大手の大林組は突然の社長交代を発表した。11年もの長期にわたってトップを務めた白石達社長(当時)から、蓮輪賢治取締役兼専務執行役員テクノ事業創成本部長(同)へ同年3月にバトンタッチするというもの。交代会見の会場には大勢の報道陣が詰め掛け、緊迫した雰囲気に包まれた。当時、大林組はリニア談合事件関与の疑惑の渦中だったからだ。

 リニア談合事件は、東海旅客鉄道(JR東海)が27年開通を目指すリニア中央新幹線の品川駅と名古屋駅の工事業者選定に際し、指名された大手ゼネコンの大林組、鹿島、清水建設、大成建設の4社が互いの入札予定金額の情報を交換し、受注者をあらかじめ決める談合をしたとされるものだ。

 17年末、大林組はこの事件に関連して4社の中で初めて東京地検特捜部による家宅捜索を受けた。その後、年内に特捜部と公正取引委員会が4社に対して家宅捜索を行った。

 大林組の会見では「交代は引責辞任ではないか」と記者が質問するたびに、白石社長は「経営体制の一新」との回答を繰り返した。捜査中だったこともあるが、大林組は白石社長の前の脇村典夫元社長が07年に大阪府枚方市の清掃工場建設の談合に関連して引責辞任しており、社の看板に2度も泥を塗ることは避けたかったのだろう。

 汚職や談合で突然社長が代わると、人事の交代周期が予定よりも短縮する。人望や実績のある社長候補者がいても、そのとき担当事業部の業績が悪かったり、汚職や談合を起こした部署だったりすると、社長選レースからはじかれてしまうこともある。4社は05年末に「談合決別宣言」をしていたにもかかわらず、十余年後に談合を繰り返し、再びトップ人事にまで波及した。故にゼネコン社員は「この業界は社長人事が予測しにくい」と言う。

 とはいえ、在任期間、学歴、出身畑、創業家経営など、ゼネコン社長の人選には伝統がある。