8月上旬現在で会員は800人(農家600人、購入者200人)だが、これを2020年内には4000人に拡大する。

 農家全体からすれば少数だが、事業の成長の余地はある。マイファームの西辻一真社長は「登録を希望した農家は3000人いたが、家庭菜園の域を脱していない人にはご遠慮いただいた」と話す。一定の売り上げ規模があり、経営感覚に優れたプロ農家だけを集めることで、ECサイトとしての信頼性を高めようとしているのだ。

 とはいえ、挑戦者たるSBTやマイファームの新サービスにも課題はある。従来の商流に比べ小ロットになる傾向があり、運送費がかさむのだ。このため、契約当たりの単価を上げる必要があるが、例えばラクーザの平均単価は3000~6000円とBtoBの取引としては小粒だ。

 今後、テクノロジーの力で物流を効率化するとともに、契約規模を大ロットにしたり、利用頻度を高めたりできるかどうかが、勝負の分かれ目になる。

 そしてもう一つ。事業体ではないが、旧来の農業団体とは一線を画すSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サイト)をベースにした新たな農業者集団も誕生した。8月に設立された「日本農業者ビジネスネットワーク」だ。

農業団体にも変化
SNSベースのフラット組織発足

 その母体となったのが、フェイスブック(FB)の非公開グループ「FB農業者倶楽部」だ。グループには8518人が登録し、フラットな関係で農業の経営課題の解決方法などを教え合っている。

 今回立ち上がった日本農業者ビジネスネットワークは、FBのグループを活発化して課題解決能力を高めるとともに、FB上や会員が集まるオフ会で政策論議を行い、農業政策への意見反映を目指す。

 一方、JAなど既存の農業団体は組織運営が硬直的で、農政運動は形骸化が進む。農政運動の意見集約は形式上、地域→都道府県→全国組織という段階を経て行われるが、農業者集団の活動資金の一部をJA全中などの上部団体に依存しているため自由な意見が言いにくい。

 旧来の農業界を圧倒するスピードで、企業やベンチャー、プロ農家が積極的に“つながり”始めた。今年は民間発の「農業改革元年」となるかもしれない。