マルシェオンライン卸売市場の利用が拡大すれば、マルシェに並ぶような個性的な野菜がスーパーで買えるようになるかもしれない Photo by Hirobumi Senbongi

小泉進次郎氏が自民党農林部会長を退任し、すっかり改革の機運が後退した感のある農業界だが、民間からは変化の潮流が生まれている。JA全農といった旧来勢力が牛耳ってきたモノの流通などを代替する新事業が相次いで8月に本格始動したのだ。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

 これまで多くのIT企業や製造業が農家支援サービスを提供してきたが、大きな成功を収めているとは言い難い。そうした中、旧来型の「農業流通」を激変させるインパクトがある二つの事業が8月に始動した。

 それらの事業は、従来の農家支援サービスとは違い、農家の利益に直結するモノの販売や決済サービスを提供する。この事業領域は長らくJA全農や卸会社など従来のプレーヤーが牛耳り、参入障壁がある聖域だった。

 まず、流通変革の旗手となり得るのが、ソフトバンク・テクノロジー(SBT)だ。農家が農業に使う資材の相見積もりを取り、比較できる情報サイト「AGMIRU」を、商品の購入までできるECサイトにバージョンアップして本格稼働させた。

 同サイトを運営するSBT子会社リデンの上原郁磨社長は「もうけていない人から月額のサービス料をもらうのではなく、サービスをどんどん利用してもうかってもらい、手数料を頂くのが特徴だ」と、従来の農家支援サービスとの違いを強調する。