他人の意見は「二次情報」にすぎない

アナリストたちの意見を鵜呑みにしていたら、誰もドン・キホーテに投資はしていなかったでしょう。しかし、私は実際にドン・キホーテを見に行きました。
すると、若者たちが目的もなしに深夜にブラブラ立ち寄っていたり、友達同士で遊びに来ているような会話が聞こえてきました。彼らにとっては、ただの買い物の場ではなく、レジャーのように特別な場所になっていたのです。
私は、ドン・キホーテを評価し直しました。すると、その5年後、売上も利益も株価も大きく上昇したのです。
第三者による意見は、あくまで二次情報に過ぎません。実際に利用するお客さんがどう思うかを考えることこそが、マーケット感覚なのです
たしかに私たちは偏見から逃れられません。
しかし、実際の現場を見て、「多くの人がどう思っているか」を体験すれば、誰だって視野を広げることができるのです。
では、そんな人間の性質を理解したうえで、できる限り、幅広く視野を広げてアンテナを立てて生きるには、どうすればいいのでしょうか。

街の中で「変化」を見つけよう

投資家的な「視点」を持っている人とは、「変化に気づける人」と言い換えることができます。
マーケット感覚を持ち合わせていたり、ビジネスチャンスを発見できる人は、日常生活において変化を見つける「敏感さ」を持ち併せています。
そして、それは特別な才能やセンスではなく、誰でも身につけることが可能です。
本書と同様に、ここで簡単な質問をしましょう。
あなたは、流行に敏感なほうですか?
実際のセンスはさておき、「流行に敏感であろう」と意識を持つことが大事です。
「私は流行には左右されたくないから」と斜に構えてしまうと、目の前の世界が閉じてしまいます。
流行を気にするだけで、不思議なことに、同じ風景もまるで違って見えてきます。いつもの通勤ルートや住んでいる街の景色が変わり、移動時間が情報収集のための時間に変わるのです。

「街行く人の服のサイズが大きめになっている」
「駅前に新しくできたカフェのコーヒーが量より質を売りにしている」
「ハンズフリー会話をしている人が増え、独り言に見えることに抵抗感が少なくなっている」

同じ生活をしていても「流行を知ろう」と意識を切り替えただけで興味のアンテナが多方向に伸び、入ってくる情報量が格段に増えるのです。