資産の大きさ(体格)より、純資産(体力)が重要

 そう言うと、川上は3つのボックスの右側に負債と純資産の情報を書き加えた(下図表)。

貸借対照表は、会社の体の大きさや体型、体力がどれくらいあるかがわかる、健康診断書

 「A社はやせ型の健康優良児ですね。B社は筋肉質だけど病弱な感じ。C社は体力がマイナスって病気なんですか? これだったら、A社に就職したい! 安心感があります」
 早苗は、純資産の一番大きいA社を選んだ。

 「俺も就職するならA社だな。会社の健康状態は極めて重要だ。その点、C社は体力が0以下で大病中。純資産がマイナスの状態を『債務超過』という。最近でもシャープや東芝が、赤字の影響で債務超過になったのは知っているだろう?」

 「はい。ニュースを見てびっくりしました。日本を代表する製造業がこんなに苦境に立たされるなんて、信じられないです」

 「シャープや東芝は数兆円の資産を持っている。体はものすごーくでかいけど、いくら体格が良くても健康とは限らない。負債と純資産の割合、つまり、目には見えない会社の体力がどうなっているかが重要なんだ」
 早苗は「資産の大きさ(体格)より、純資産(体力)が重要!」と手帳に書いた。