かつて、高齢者は一括りに弱者として扱われ、収入に関係なく、無料で医療を受けられる時代があった。経済成長を背景に、福祉元年と呼ばれた昭和48年(1973年)に導入された国の老人医療費支給制度は、低所得の高齢者でも医療に容易にアクセスできるという福音をもたらした。その半面で、医療費の急増を招き、保険財政に大きな影を落とすことにもなったのだ。

 その後、高齢者の医療制度は徐々に見直されて、一部負担金が求められるようになったが、現役世代に比べると、その負担は低く抑えられる傾向が近年まで続いていた。だが、逼迫する保険財政を立て直し、国民皆保険を持続可能なものにするためには、改革は待ったなしの状態だった。

 こうした状況を打開するために、2013年8月にまとめられた「社会保障制度改革国民会議」の報告書では、「負担するのは現役世代、給付を受けるのは高齢者」という従来の構造を見直して、年齢に関係なく「能力に応じて負担し、必要に応じて給付を受ける」全世代型の社会保障にしていくための青写真が描かれることになった。

 そして、医療分野についても必要な改革があげられ、これまで優遇されていた高齢者の負担にもメスが入り、一定以上の所得がある人には、現役世代並みの負担を求めるといった考えが示されたのだ。

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 人生100年時代といわれる今、70代でも、80代でも、体力と気力が続くうちは働いて、できるだけ長く収入を得ておくことは重要なことだろう。

 だが、収入が増えるということは、それだけ負担能力があるとみなされることでもある。制度改正によって、高齢者にも相応の負担が求められることになった今、病気やケガをしたときの医療費の負担は増える可能性がある。

「70歳になったら医療費が下がると思っていたのに…」と、何も準備しておかないと、いざというときに慌てることになる。