6月に、なじみ深いMRJから「三菱スペースジェットファミリー」に改称して以来、三菱重工業では、国産初のジェット旅客機の事業化に向けたさまざまな具体策が動き始めている 写真:読売新聞/アフロ

米ボーイング等の下請け事業を展開する民間機部門による、MRJ事業部の吸収、新型機M100の大型売買協議──。三菱重工業が、国産初のジェット旅客機「三菱スペースジェットファミリー(旧MRJ)」の事業化に向けて打つ具体策の本当の狙いとは何か。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)

Tier1事業との統合を
いきなり進めなかった深謀遠慮

 三菱重工業が、夢から覚めたかのごとく国産初のジェット旅客機「三菱スペースジェットファミリー(旧MRJ)」の事業化に向けて動き始めた。

 スペースジェットは、初号機の納入予定を5度に渡って延期。実にトータル7年も遅れて、長く“夢”の商業機と化していた。しかし、2016年11月にMRJ事業推進委員会を設置し、宮永俊一社長兼CEO(最高経営責任者。当時。現会長)を委員長とする厳重な管理体制を敷いて以来、開発は順調に進捗している。現在開発中である「スペースジェットM90(76~92席クラス)」の来年半ばでの納入が現実的になったことから、いよいよ量産化への一歩を踏み出す。

 具体的には、10月1日、スペースジェットの事業を行うMRJ事業部を、社長の直轄組織から米ボーイングなどの1次下請け(Tier1)事業を展開する民間機セグメント部隊の傘下へと移動させる。重要事項の意思決定については、依然として社長が直接管掌する事業推進委員会が行うことに変わりはないものの、航空機の製造ノウハウに厚い民間機セグメントが、スペースジェットの量産化をサポートできる体制を築く。