老後資金が2000万円なくても
十分暮らしていける

――そうなると、手元のお金をできるだけムダ遣いせずに暮らすしかありませんね。「老後資金2000万円問題」が噴出したときには、「実際には2000万円どころでは足りない」と唱える専門家もいました。いったい、いくら貯めておけば安心なのでしょうか。

「老後資金2000万円問題」で、一気に生活不安に火が付きましたが、あれは杞憂です。もともと金融庁が投資を促すために吹聴しているだけなので、信じてはいけません。世間を見渡すと、月20万円くらいで生活している家庭はたくさんある。本当は、その程度の生活費でやっていけるのです。

 たとえば、元会社員と専業主婦の高齢夫婦2人の家庭をイメージしてみます。夫の退職金が世間一般の水準でおおむね1500万円とすると、それを老後資金と考え、普段は生活費に充てず、貯金しておきます。いざというときに使うお金の内訳は、夫婦の介護に1000万円、医療費に200万円、葬式代やその他雑費に残り300万円、といった具合です。

 一方で、日々の生活には年金を充てるようにします。夫婦2人の平均的な年金受給総額を20~30万円と考えても、それで十分暮らしていけるでしょう。

――節約のための最も重要な心得とは何でしょうか。

 生活防衛のためのキーワードは、「夫婦仲良く」。夫婦が普段から色々なことを相談できる状況にあれば、節約がスムーズにいくからです。同じ場所で過ごし、同じ食卓で食事をし、一緒にお風呂に入れば、さまざまな生活費を節約できることでしょう。

 また、男性は光熱費や通信費などを「高い目線」から見直すことが得意なのに対し、女性は買い物のときに10円でも安いものを選ぶといった「生活目線」からの節約が得意。それぞれ異なる目線を持った夫婦が協力すれば、家計の見直しは万全です。

 とにかく節約は、夫婦仲が良くないとうまくいかない。万一熟年離婚なんかして年金分割をしようものなら、その後の人生は真っ暗です。

荻原博子(おぎわら・ひろこ)
1954年生まれ。長野県出身。経済事務所勤務後、1982年からフリーの経済ジャーナリストとして、新聞・経済誌などに連載。女性では珍しく骨太な記事を書くことで話題となり、1988年、女性誌『hanako』(マガジンハウス)の創刊と同時に同誌で女性向けの経済・マネー記事を連載。難しい経済やお金の仕組みを、生活に根ざしてわかりやすく解説。ビジネスマンから主婦に至るまで、幅広い層に支持されている。バブル崩壊直後からデフレの長期化を予想し、現金に徹した資産防衛、家計運営を提唱し続けている。新聞、雑誌などの連載やテレビのコメンテーターとしても活躍中。著書多数