報告書そのものは全20ページでまとめられ、参考資料には金品を受領した八木会長らの氏名(一部匿名)、金品の項目、合計額、処分内容などが記されている。

 報告書は、八木会長や岩根社長などに金品を渡していた元助役の森山栄治氏(今年3月に90歳で死去)や、関電から原発関連工事を受注し、その手数料として森山氏に約3億円を支払っていた吉田開発を中心に記載している。

 驚くべきなのは、森山氏の横柄さを強調している点だ。

 長くなるが、報告書の中身をそのまま引用したい。

 「本件は、要するに、当社役員・社員や地元関係者に対し、大きな発言力と影響力を持っていると、対応者において認識していた森山氏が、その立場や当社との関係維持に固執し、あるいは自己の存在感を誇示するために、対応者に対し多額の金品を渡し、対応者がこれを返却しようとすると恫喝などの異常というべき言動でこれを拒絶したため、対応者が返却できなかった金品を保管し続けて返却の機会を窺う等、腐心していたという案件である」

 これが、関電の今回の件に対する根本的な認識なのだ。

 関電は、役員らが“一時的”に金品を受領したことや、その対応を個人に任せきりにし、組織として動かなかったことはコンプライアンス(法令遵守)上、問題があったと報告書で反省しているものの、結局のところ、「森山氏のパーソナリティーの特殊性・特異性」(報告書ママ)によるものだと言いたいのだ。

コンプラ委員会に
コンプラの意識ゼロという皮肉

 呆れるのは、関電の自浄能力のなさである。

 社内調査については、関電のコンプライアンス委員会の社外委員を務める3人の弁護士の指導、助言を受けて、関電のコンプライアンス部門(法務部門)が実施した。