社内調査報告書をまとめた弁護士の小林敬委員長の所感には、関電に対して「同情さえ禁じ得ない」と記載している。この文言は、まるで関電が被害者であることを強調した最たるものだ Photo by Ryo Horiuchi

 報告書は、森山氏の“悪代官”っぷりを散々書き連ねているが、実は、ヒアリングをしたのは、森山氏の対応に当たった関電の社員らのみで、森山氏側に直接ヒアリングしていないのだ。明らかに客観性を欠いていると言わざるを得ない。

 これについて関電側は「国税当局による調査が入っていたため」などと釈明している。

 この報告書の結果を受けて行なった社内処分の基準についても、関電には明確なものがなかった。

 関電側は会見で処分内容に関して「金額の多寡や組織の責任の重さ」などと説明したが、20人の中で最も多い総額1.2億円相当の金品を受領した鈴木聡常務執行役員と、八木会長、岩根社長よりも多い4000万円相当を受領した森中郁雄副社長執行役員は、厳重注意にとどまった。

 最も自浄能力のなさ、コンプライアンス意識が欠けていたと言わざるを得ないのは、社内調査が2018年7月から9月に行われたにもかかわらず、これについて取締役会に報告すらせず、しかも今回の不祥事が報道によって明らかになるまで公表しなかったことだ。

 しかも、社内処分を受けた森中副社長、鈴木常務、大塚茂樹常務執行役員は、これらの処分を株主に公表しないまま今年6月の株主総会で昇格人事が承認されている。

 これらの一連の判断を下したのが、他でもない、コンプライアンス委員会の委員長を務める岩根社長なのだ。関西、そして電力業界を代表する上場企業のトップにコンプライアンスもガバナンス(統治、統制)の意識もなかったというのだから、開いた口が塞がらない。

 関電の信頼は、完全に地に落ちた。

 コンプライアンスに欠け、ガバナンスも効かない企業に原発を運営する資格はあるのだろうか。

 電気事業連合会の会長職も含めて改めて進退を問うと、岩根社長は「再発防止、原因を徹底的に究明して社会に公表し、なんとかリスタートを切らせていただきたい」と声を振り絞った。

 関電は独立した第三者委員会による調査を実施する方針を明らかにした。

 しかし、いくら第三者の目を入れたところで、自浄能力がない関電にリスタートができるだろうか。