私自身もかつて悩まされたのは帝王切開や母乳にまつわるあれこれ。帝王切開で生まれた子どもは落ち着きのない子どもに育つと言われたことがある。そんなこと言われても帝王切開しなかったら死んでたんだけどな。あるいは母乳。出が悪くて乳房のマッサージも青あざができるほどしたのだがどうにもならず、粉ミルクにした。が、訪問して来た保健婦さんに仕事のために手抜きで粉ミルクにしたと責められたことは今でも苦々しい思い出だ。

 赤ん坊は3歳までは母親が見るのが一番、というのもなかなか強固に信じられている。最近も地位の高い政治家が言っていた。こうした言説は、働く母親たちに後ろめたさを与えているのは想像に難くない。

 わたしたちはこうしたことを自らの実感をもとに判断している。家で編み物をし、毎朝温かい味噌汁をつくってくれた母を懐かしく思い出す人は、やはり母親は家にいるべきだと思うのだろうし、バリバリ働く母の背中が自慢だった人は、女ももっと社会に出るべきと思うのだろう。

 さて、では、政策としてはどうする? 保育園はどのくらい作るべきか、産休や育休はどのくらい必要か。政策となると予算をつけなくてはならないが、前者と後者ではそこにかけるべき税金について、一致するのは難しそうだ。

 そこで重要なのがエビデンスだ。個人の実感ではなく、データの分析を重視することだ。

 本書『「家族の幸せ」の経済学 データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実』は実に様々な人生の場面において、どんな要素がどんな影響を生むか、国内外の調査のデータをもとに分析している。人はどこでどうやって結婚相手と出会っているのか。似た者同士で結婚するというのは本当か。流行りのマッチングサイトで、本当に幸せな結婚ができるか。

 出産した時の子どもの体重が人生に与える意外な影響。帝王切開は本当に落ち着きのない子に育つのか。粉ミルクと母乳はどっちが優秀か。

 幼児教育の効果は?体罰=愛の鞭は果たして。父親が育休を取ると夫婦の離婚率は下がるのか?上がるのか?

父親が育休を取ると
離婚率が下がる国、上がる国

 私も悩まされた帝王切開については巷間言われているような子供の情緒の発達に与える影響はないという結果が出ている。ほら見なさい!ところが、肺や呼吸器の機能に問題があったり、免疫発達に問題が生じる傾向があるという。へえ、そうなのか。

 お父さんが育休を取ると、離婚率が下がるという結果がアイスランドの調査で出た。これは腑に落ちる話である。子育てに積極的に参加してくれないという母親のストレスが軽減されるのだから。父親たちよ、おおいに育休を取りたまえ!