東日本大震災が
大きく前進させた停電対策

 東日本大震災では、地震や津波により、電力供給を含むインフラが深刻な打撃を受けた。もちろん、人口呼吸器使用者には、生命にかかわる問題となる。呼吸を続け、生き延びるために、利用できるものは何もかも活用することになる。

 もちろん、人工呼吸器という生命維持に関わる装置には、停電時のために内部バッテリーが組み込まれており、5時間程度は動作する。内部バッテリーの電力が尽きても、外部バッテリーがあれば、5~6時間程度は動作する。しかし、内部バッテリーと外部バッテリー1個を合わせても、せいぜい半日だ。

 自動車があれば、エンジンをかけてシガーソケットから直流12Vを引き出すことができる。インバーターを組み合わせれば、人工呼吸器に必要な交流100Vに変換することができる。自動車を発電機として活用するわけだ。効率は良くないが、いたし方ない。

 しかし、ガソリンが尽きるとその手も使えなくなる。そして、大規模停電が発生する大災害の際には、ガソリンの入手も困難になっていることが多い。

 すると、電力供給が復旧するまで、手動呼吸器を誰かが動かすことになる。呼吸が途絶え、脳に酸素が供給されにくい状態が3分続くと、脳にダメージが発生する。そういう事態を避けるため、家族などが交代で手動呼吸器を動かし続け、電力復旧までの3~4日間をしのいだケースもあるという。

 民主党政権下にあった政府は、迅速かつ柔軟に対応した。まず東北電力などの事業者に呼びかけ、重症難病患者の拠点病院に対する電源装置確保を要請した。また、東日本大震災の翌月にあたる2011年4月には、通知を発行し、重症難病患者の拠点病院に非常用電源装置を配置できるように、都道府県に対して、国庫助成を行うこととした。発電機や無停電電源を、難病患者の拠点となる病院に備え、必要に応じて貸し出すことができるという制度だ。