『週刊ダイヤモンド』10月19日号の第1特集は、「選ばれるクスリ・医者・病院」です。技術の進化によって医療がどんどん変化する中、どんな「薬」、どの「医者」、どこの「病院」が選ばれているのでしょうか。なぜ、選ばれているのでしょうか。がん、糖尿病、高血圧、脂質異常症の薬を「処方患者数」などでランキング。急増するロボット支援手術を手掛ける「医師581人」「219病院」をリスト化し、「手術数」でランキングしました。医療を選択する判断材料となるであろう新たなデータを示しています。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
ロボット手術で足りない「人の手」
医者争奪戦が始まっている

この4月に板橋中央総合病院(東京都)へ移り、ロボット手術センター長となった吉岡邦彦医師の元には、引き抜きの誘いが絶えなかった。
大学病院からは「臨床教授としてぜひ。手術だけしてくれれば、あとは何もやらなくていいので」。ロボット支援手術を始めたい市中の病院からも「ぜひに」とアプローチが繰り返されてきた。
ロボット支援手術は、手術支援ロボット「ダヴィンチ」を使って行う手術だ。患者の腹部に小さな穴を開けてカメラや手術器具を挿入する腹腔鏡手術を進化させたもので、より高いレベルの手術ができるため、メスを使った従来の開腹手術などから急速にシフトが進んでいる。前立腺がんの手術では6割以上で選択されるようになり、今では主流となっている。
2018年度には公的医療保険の適用対象が一気に広がった。先んじて保険適用になった前立腺がんや腎がんに、食道がん、直腸がん、胃がん、肺がん、縦隔腫瘍、膀胱がん、子宮体がんなどが加わった。
吉岡医師は06年に東京医科大学病院(東京都)で前立腺がんの患者に対しては国内初となるロボット支援手術を行ったのを皮切りに執刀を重ね、累積手術数は2000例。日本で最も多くロボット支援手術を行っている。その“腕”が医療機関の垂ぜんの的となっているのだ。