疲れを回避するために、「モノを介してつながる場所」へ
無理に「自分」というものをさらけ出す投稿をする必要はない。だけど心地よいつながりはほしい。それらが満たされる場所を求める人々は、これからますます増えて行く可能性がある。
冒頭で紹介したPinterestのように、「モノ」を中心にした投稿で構成され、好きな「モノ」を介してつながる場所は、これまで触れてきた「ソーシャルメディア疲れ」を回避して向かうひとつの道標になりうる。
その感覚は、旅に似ている。
誰かと行く旅もいいけど、時には一人旅をしてみたくなる。
旅先で感動的な景色を目の当たりにした時には、ひとりでそれを噛み締めるからこその味わいというものがある。しかし、その場に偶然居合わせた他の観光客と、「絶景ですね」と言葉を交わし、その感動的な景色を共有することもある。もともと知り合いでもない人とであっても、共有する「モノ(ここでは景色)」を介してコミュニケーションを図ることは不思議と円滑にいくことが多い。人を評価するのではない分、「モノ」が主体(ネタ)となった場合は、そこを介した人と人のつながりというものが楽になるのだろう。
共通の趣味を持った友達関係や、共通のテーマを持ったサークルにおいては、その中心にある「モノ」が人と人のつながりを成立させ、求心力となっている。
ここから派生して考えてみると、「モノ」を介したつながりというものは、ひとつのつながりのカタチとして存在感を増しそうだ。それは、ソーシャルメディアによる人と人のつながりというものが、人に過剰な疲れを与えてしまった場合に、より顕著となるだろう。
よりシンプルでゆるやかなつながりに人々が向かうとすれば、「モノ」を介したつながりの場に向かうことになるのではないか。
そして、こういう場をひとつ持っておくことが、疲れを感じたら、ゆるやかなつながりの場にシフトし、バランスをとることを可能にするのだ。
※本連載は、これで終了です。ご愛読いただき、ありがとうございました。