海外に比べて絶対的な規模で劣る
日本のベンチャーキャピタル市場

上念 司(じょうねん・つかさ)
1969年東京都生まれ。1993年中央大学法学部法律学科卒業。在学中は日本最古の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年より、経済評論家・勝間和代と「株式会社監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任。現在は代表取締役。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一名誉教授に師事し、薫陶を受ける。リフレ派の論客として経済政策、外交防衛政策など著書多数で、『もう銀行はいらない』(ダイヤモンド社)、『経済で読み解く日本史 文庫版五巻セット』(飛鳥新社)、『財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済』(講談社+α新書)などがある。テレビ、ラジオなどでも活躍中。

 一方では、日本のベンチャー企業が、銀行や銀行系のVCなどあまりアテにしていないようにも見えてきます。
 2013年4月以降、デフレ脱却や景気刺激のため、日銀の黒田東彦総裁が「黒田バズーカ」と呼ばれる強力な金融緩和策を3回発動し、日銀が潤沢な資金を民間の銀行に供給しています。

 たくさんお金を持っている銀行は、その分企業や個人への融資を増やしたほうが儲かるはずなのに、なぜかそれをしません。
 それどころか、新規口座を開設させないなどの意地悪を平気でやります。

 実際、私の後輩は最近やられました。

 もちろん、中小零細企業でも担保価値のある資産があれば、銀行は簡単に融資してくれます。
 例えば、不動産を保有する資産家の管理会社などです。
 しかし、新しいビジネスを生み出そうとする起業家に、銀行はとても渋い。
 これはスタートアップベンチャーの経営者からよく聞く話でもあります。

 せっかくいいビジネスアイデアを思いついても、銀行が事業性よりも担保の有無ばかり気にしてお金を貸してくれない。
 銀行以外から資金調達しようにも、日本のベンチャーキャピタル市場は、海外に比べて絶対的な規模で劣ります。
 その結果、いいビジネスアイデアがあっても、なかなか資金を得ることができません。

 大量にチャレンジする人がいるからこそ、多数の失敗が生まれても、ある一定の確率でスマッシュヒットが生まれます。
 チャレンジの総量が少なければ、スマッシュヒットも減る、もしくは生まれない。
 なぜこんな簡単なことがわからないのでしょうか。

 銀行は本来、世の中の企業や個人を、融資を通じて支援することが使命のはず。
 こんな状態で日本発のイノベーションなど期待できないことは明らかです。
 銀行が社会的役割を果たさないばかりに、目に見えないところで国力がどんどん低下したのでは、たまったものではありません。

【次回へ続く】