かつては安定企業の代表格だったメガバンクも、
いまや数千・万人単位と大量の人員削減を余儀なくされている。
地銀の凋落ぶりは、もはや目を覆わんばかりだ。

なんだかんだと金融行政に守られ、
誰がやっても儲かるような護送船団方式のなかで安穏と過ごしてきた銀行に
市場競争へ立ち向かうまともな力量はない。

いまやAIや仮想通貨といったまったく異質の金融技術が、
銀行業務の独占に容赦なく襲いかかってきているのだ。

どんなビジネスアイデアも、本来は経営者の個人保証や担保がなくても、
アイデアそのものがお金を生み出しそうかどうか、「事業性」を評価して融資されるべき。

その事業性を審査する能力こそ銀行のコアスキルであるべきなのだが、それがない。

いまごろになって事業性評価に基づく融資の拡大を標榜する銀行も増えつつあるが、
これまで担保主義で融資してきたのだから、必要な審査能力は備わっていないのだ。

こぞって消費者金融を手掛けるも、焼け石に水。もはや八方塞がり。
不動産などの担保を確保して融資するという質屋のような銀行業務は、もういらない。

『もう銀行はいらない』を上梓した経済評論家・上念司氏が、
確かな見識と舌鋒鋭い指摘で、銀行業界を“筆刀両断”する。

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 【前回】からの続き

 たいていのベンチャー企業は創業して日が浅く、会社には資産などありません。
 あるとしたら経営者の個人資産ぐらいでしょう。

 私は前述した通り、2018年に初めて銀行融資を受けたのですが、担保の代わりに個人保証を要求されました。
 それほど融資額が多くなかったので何とかなりましたが、個人保証ができないほどの資金を要するビジネスを展開したい人はどうなるのでしょうか。

 この問題を「カネもないくせに大言壮語する奴が悪い」といった倫理観で片づけてはいけません。
 世の中を変えるイノベーションは、無謀な考えから生まれることが多いからです。

 どんなビジネスアイデアも、本来は経営者の個人保証や担保がなくても、アイデアそのものがお金を生み出しそうかどうか、その「事業性」を評価して融資されるべきです。
 事業性を審査する能力こそ銀行のコアスキルであるべきですが、それがない。

 いまごろになって事業性評価に基づく融資の拡大を標榜する銀行も増えつつありますが、これまで担保主義で融資してきたのですから、事業性評価に必要な審査能力は備わっていません。

 こうした背景があるため、日本のベンチャー企業は、新興企業に投資するベンチャーキャピタル(VC)に話を聞いてもらって出資してもらっています。
 最近でこそ学生の就職人気も高まっているVCですが、その活躍が目立つようになったのは平成になってからのことです。

 次のグラフは、2017年上半期のベンチャー企業向け投資資金を、出し手であるVCの業種によって分類したものです。

金融機関系VCの投資額は、わずかに16%。
銀行よりもリスクを負うVCですら、銀行系だとこの程度でしかありません。

これを見れば、親会社の銀行がもっとリスク回避的なのは当然と言えるでしょう。