「企画プレゼンが通らない」「営業先の反応が弱い」「プレゼン資料の作成に時間がかかる…」など、プレゼンに関する悩みは尽きません。そんなビジネスパーソンの悩みに応えて、累計25万部を突破した『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』シリーズの最新刊『プレゼン資料のデザイン図鑑』が発売になりました。この連載では、同書のコンテンツを紹介しながら、著者・前田鎌利氏がソフトバンク在籍時に孫正義社長から何度も「一発OK」を勝ち取り、ソフトバンク、ヤフーをはじめ約600社に採用された「最強のプレゼン資料作成術」のエッセンスをお伝えします。
「3」には不思議な力がある
「3」はマジックナンバーと呼ばれます。
「三種の神器」「朝起きは三文の徳」「三人寄れば文殊の知恵」など、「3」という数字を使った言葉はやまのようにあります。「上中下」「松竹梅」「金銀銅」など、ランク付けも3つに分けるものが多いですね。
企業名にも「3」は多く見られます。「NEC」「ANA」「IBM」などアルファベット3文字の企業名も多いですし、「トヨタ」「ホンダ」「ドコモ」など3文字の企業名もたくさんあります。
あるいは、3ワードのメッセージには、人々に強く訴えるものがあります。
オバマ大統領の“Yes, we can.”というキャッチコピーや、ビートルズの“Letit be”など枚挙に暇がありません。覚えやすいですし、語感がいいから多くの人が口にしたくなるために、言葉が伝播(でんぱ)しやすいのでしょう。
このように、古今東西を問わず、「3」という数字には、人間に訴えかける不思議な力があります。
この「マジックナンバー3」は、プレゼンでも有効です。
なぜなら、伝える内容を3つにしたほうが、わかりやすいし、記憶にも残りやすいからです。人間は、与えられたテーマが3つを超えると、とたんに理解のスピードと正確性が落ちることが科学的にも実証されているのです。実際、私がこれまで見てきた優れたプレゼンのほぼすべてが「マジックナンバー3」を意識したものになっていました。
実際に見比べてください。
これは自社商品の特徴を列記するスライドですが、5つ列記したスライドと、3つ列挙したスライドのどちらのほうが、頭にスッと入ってくるでしょうか? 明らかに、3つのほうだと思います。
さらに、5つを列記したスライドのあと、5つのテーマについてそれぞれ説明がされるはずですが、それを想像しただけでも、ちょっと面倒臭く感じないでしょうか? その内容を覚えるのも手間に感じるはずです。
プレゼンではついつい「少しでも多くの情報を伝えたい」と思ってしまいがちですが、その結果、内容が記憶に残らないのでは意味がありません。逆に、「1つ」か「2つ」だとシンプルではありますが、今度は物足りなく感じられてしまいます。だから、伝えるべき内容はできるだけ「3つ」にするようにしてください(もちろん、無理をする必要はありません。伝えるべき内容が2つしかないときに、もうひとつを捏造するのは、もちろんNGです)。