「過去最大規模の研究」を基にしている

 私たちは乳幼児の食事と授乳について10年以上研究している科学者であり、二人ともこの分野で博士号を取得しています。そしてこの分野の第一人者として100本近い論文を発表してきました。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)でクレアが率いる私たちの研究チームは、この分野において世界的に知られています。

 とくに力を入れているのは、乳幼児の食に関する過去最大規模となる双子研究「ジェミニ」への参加です。「ジェミニ」は乳幼児期の授乳と食事に関する理解を根本的に変え、健全な成長(発育)と発達にとってこの時期の栄養(授乳と食事)がどんなに大切か、新たな発見をもたらしています(ジェミニの詳細と重要性、独自性については第1章で述べます)。

 私たちはどちらも「ジェミニ」の研究に加え、20を超える学術誌の論文の審査と評価を行い、この分野について世界各地で多くの講演を行っています。クレアは3つの有力誌の編集委員を務め、UCLの理系修士課程でリサーチ法と統計学を教えています。また、この分野で博士号取得をめざす研究者たちの指導にもあたっています。

 つまり、私たちはデータをふるいにかけ、無意味なものを排除し、本当に重要な情報にたどり着くことに長けているのです。

 科学的背景を別にすると、私たち二人の食をめぐる経験はまるで異なり、それが本書執筆の大きなきっかけになりました。

 子どものころのクレアは「発育不全」で極端な偏食に悩まされ(それどころか、食べ物にひどい恐怖を感じることさえありました)、そんな状態が幼児期から始まり、成人してからもしばらく続いたのです。そのため、こうしたことが子ども自身だけでなく、両親や家族にまでストレスをもたらすことを身をもって知っています。

 本書では、みなさんのお子さんがそうなる可能性を最小限に抑える情報を提供できればと思っています。また、今まさに好き嫌いの激しいお子さんと向き合っている方々には、うまく対処できるような最善のアドバイスを届けられればと願ってやみません。

 一方ヘイリーは、食べることにかけては模範的に成長し、食べ物のことであまり問題を抱えたことがありません。初めての食べ物でもいつもすんなり口に入れ、時には例外があっても、出されたものは何でも食べ、食べすぎることもありませんでした。どうやら、幼いころの両親の食事の与え方が大きく関係していたようです。

 私たちは、本書で子どもへの食事の与え方を指南するとき、自分たちの経験をつねに念頭に置いてきました。そうすることで、みなさんへのアドバイスが、現実的で根拠があり、共感もできる有益なものになればと願っています。

多くの科学者の「査読」を経ている

「査読」とは、科学者の研究報告(学術論文、記事、書籍)について、同じ分野を専門とする科学者の客観的な評価を受けること。査読により、公に発表される科学的根拠に基づいた情報が、正確で信頼でき、その分野の広い文脈に沿って提示されていること(情報が1、2名の科学者の狭い見方を示しているのではなく、分野全体を公平に代表していること)が保証されます。

 本書の執筆過程では、この分野を専門とする多くの科学者の協力があり、正確さが保証されています。