同一の医療サービスや同一の薬剤は全国同じ単価で提供されているにもかかわらず、図表1の横軸で示したように、1人当たり医療費には年齢構成を調整しても大幅な格差がある。

 その原因としては、人口当たり病床数や医師数の多寡や生活習慣病への取組みの違い、後発医薬品の使用割合や重複投薬・多剤投与問題への取り組みの違い、同一の疾病における治療法や投薬方法のバラツキなど、さまざまな要素が絡んでいると考えられる。

 こうした医療費の合理的とはいえない格差を縮小する上で、保険料の統一を進めることは有効だろう。

 国保における都道府県内の保険料水準の統一に向けた取り組みは、当然ながら受益面の標準化とセットであるはずだからだ。地域の医療費を無理やりに削減するということではなく、医療サービスの実質的な量や質を維持したまま、医療費の地域格差を合理的に縮小させ、結果として今後の保険料の引き上げ幅を抑制する改革になり得るということでもある。

 国保に限ったことではないが、社会保険方式で運営されている社会保障は「共助」の仕組みともいわれ、本来、保険加入者による参加や自治が最も重要な要素である。

 つまり、今後どうしていくかを決めるのは、原理的には保険加入者であり、国民や住民が社会保障制度の将来を選択する格好での改革が基本でなければならない。

 国からの命令型で行われる改革は、どうしても現場での「やらされ感」が強く、取り組みの継続性が失われがちだ。上からの改革ではなく、自身にどのような課題があるかを認識できるようにし、うまくやっている他の地域などとの差がどこにあるかが分かれば、自身を変えた方がプラスになるという動機になる。

 法定外繰入の解消にしろ、保険料水準の統一にしろ、その方法を見いだし実行するのはそれぞれの地域である。社会保障改革はともすれば納得感の伴わない給付カットと負担増という捉え方をされがちだが、知恵を絞る余地は小さくない。

 都道府県単位化という好機の中にある国保改革は、成果の有無が住民や現場関係者の手中にある。国保改革は社会保障改革の「一丁目一番地」であり、社会保障改革全体の今後を占うといっても過言ではない。

(大和総研政策調査部長 鈴木 準)