Jiao氏は「コーヒーが腸内細菌叢に良い影響を及ぼす理由は分かっていない」としながらも、「カフェインなどの一部の成分が細菌の代謝に影響を与え、その代謝の最終産物が体と相互作用している可能性がある」と説明。「1日1~2杯のコーヒーは安全で、健康に保護効果をもたらす可能性がある。コーヒーが好きなら、我慢せずに楽しんで欲しい」と付け加えている。
腸内環境を整えることが健康維持に重要であるという説は、科学者の間で確信に変わりつつある。今回の研究には参加していない非営利団体「責任ある医療のための医師会(PCRM)」のHana Kahleova氏は、「腸内細菌叢は、食事と慢性疾患の発症を結びつける鍵であるようだ」と指摘する。
例えば、脂肪と加工食品が多い西洋型の食事を取る人では、肥満やインスリン抵抗性、心血管疾患などとの関連が指摘される悪玉菌の有毒成分であるエンドトキシンが多い傾向がみられる。一方で、コーヒーに含まれるポリフェノールや他の抗酸化物質、植物性食品に自然に含まれている化合物は、より健康的な腸内細菌叢と関連する可能性が高いことが示唆されているという。
しかし、腸内細菌叢のバランスを整えるために、無理にコーヒーを飲む必要はないようだ。「コーヒー以外にも、あらゆる自然の植物には、がんや糖尿病、心血管疾患の予防につながる食物繊維やポリフェノール、抗酸化物質が豊富に含まれている」とKahleova氏は助言する。また、人によっては、コーヒーは胃を刺激したり、不眠症が悪化したり、心臓病の人には危険をもたらす可能性があるとしている。
なお、学会で発表された研究結果は、査読を受けた医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなす必要がある。(HealthDay News 2019年10月28日)
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