運用病にかかる人の典型的な思考
「預金で寝かせておくのはもったいない」

 外から振り込まれたお金や満期を迎えたお金を手にすると、多くの人は「預金ではいつまでたっても増えないので運用せねば」と考えてしまう。これが「運用病」だ。

 代表的なのは「退職金運用病」だが、それ以外に今回のようにDCへの制度移管金であったり、保険の満期金であったり、親の相続で受け取ったお金なども運用病にかかるきっかけになる。

 不思議なことに、預金で毎月コツコツ積み立てているお金が1000万円を超えても運用病にかからないのに、特に外から振り込まれたお金だと、300万円でも「運用しなくては」と運用病にかかる。そしてみなさん「預金に寝かせておくだけではもったいない」とおっしゃる。
 
 私は「運用病」にかかった人には、「まとまったお金を一度に投資してはいけない」とアドバイスしている。その理由は2つある。

 1つ目は投資ビギナーが初めて買う投資商品(多くの場合、投資信託)で大成功することはないから。投資は練習が必要だ。買ってよかったと長く持ち続けることができる投資信託は、ある程度勉強し、少しずつ投資経験を積みながら、探していかねばならない。

 2つ目は、現在の相場環境が不安定だから。日本株は比較的高値圏にあるし、外国株は、米中貿易摩擦や、香港の民主化デモ、英国のEU離脱問題と波乱含みである。

 株価は上がったり、下がったりするものだが、今のような不安定なときにまとまったお金を投入すると、大幅な株価下落で投資資金が大きく目減りする可能性がある。

 DBの積立金がDCに移管された相談者には以上のようなことを伝え「まずはDCの預金に入れておきましょう」と言うと、「預金ではこれまでの企業年金の運用率には届かない」とやや不安げな表情となる。

 ずっと預金に置いたままではなく、投資信託を買いたいなら、積み立てのように少しずつ買い増していけばいい。毎月の掛け金を積み立てて投資しているのと同様に考えるといいだけだ。