さらにインドには、下水道システムにおいて、私たちには信じがたい構造も残っています。なんとインドでは、政府が低カーストの人たちに下水、すなわち排泄物の海に潜ってパイプの詰まりなどを取り除いてきれいにする仕事をさせているのです。マンホールから糞まみれになっている人を見たとき、こんな仕事が世の中に存在するのかと、非常にショックを受けました。

 彼らはヤシの実からできた強いアルコールのお酒をクイっと飲んでから潜るのですが、下水に含まれる有毒ガスを大量に吸いこむため、平均寿命は40歳と極端に短くなっています。

 これは由々しき事態です。そこで、私が責任者を務める「世界トイレ大学(ワールド・トイレ・カレッジ)をインド国内に2校も作って、彼らが排泄物の海を潜らなくても済むよう、下水を処理する機械を使うように教育しました。しかし、彼らはどんなに説明しても、この機械によって「自分たちの仕事がなくなるのではないか」という恐怖感がぬぐえず、警戒しています。そして、機械の導入が難しい状態が続いているのが現状なのです。

日本のトイレは世界最高
「トイレ文化」こそ世界に輸出すべき

――そうした悲惨な世界のトイレ事情がある一方、日本のトイレをどう見ていますか?

 日本のトイレは世界最高のクオリティーであり、「トイレ文化」も素晴らしい誇れるものだと思います。日本人は清潔好きで、完璧主義な国民性だからかもしれませんが、世界のどの国を見てもこの水準には至っていません。日本がダントツです。

 日本には、漫画や日本食、カワイイ文化などの素晴らしいソフトパワーがたくさんありますよね。でも、一番輸出すべきなのは「トイレ文化」ではないかと私は思います。

 まず日本のトイレ文化の最大の特徴は、トイレに入る前に「トイレはきれいだ」と想定して入ることができることです。東京駅などの公共の場でもそうですし、例えば使う人が次の人のことを考えて使うといったようなことが当たり前になっているのが、一番素晴らしい点だと思います。