けれども企画が通らないことにはスタートのしようもない。ではどうしたら?誰かを説得するには、相手の潜在意識に訴えることと、相手の論理を使うことが基本です。いいことばかりを並べ立てると、相手の潜在意識は悪いところを探し始めるのです。「そうは言うけれど、こういう場合はどうなるんだ?」と疑いを持つ。だからあらかじめ、自分の企画の落とし穴や盲点をよく知っておき、それをどのように扱うかが戦略の見せどころです。

「究極の盲点」を突かれないようにする方法

 突かれると答えようのない盲点もあります。たとえば、始まってみないことには何とも言えない。あるいは、現段階ではどう考えても対策を思いつかない…。この「究極の盲点」を突かれないようにする方法があります。それは、別の場所にたくさんエサをまいておき、そこへ誘導するのです。このへんまでなら答えられるという質問を、自分の持ち時間に合わせていくつか想定しておく。相手の潜在意識に訴えるのですから、その場のやりとりで持っていくことが重要。企画書に表立って書いたりせずに、自分の中で質問を想定し、準備しておくのです。そして、想定した質問が出るような話し方を工夫します。

 たとえばコストについて散々悩んで解決策を見つけているとする。そのかんじんなところを、ちょっと飛ばしてみる。「問題はコストだと思いますが、それについてはもう、とにかくグッと削減するとしまして…」などと言ってのけてしまう。鋭い上司がいれば、そこですかさず「オイ、どうやって削減するのかが大事だろう」と指摘してくるはず。あるいは、その先まで説明がすすんだところで、「さっき気になることがあったのだが」と手が挙がるかもしれない。こうやってエサにひっかかってくれればしめたもの。「実は我々も最後までその点に悩みまして、やっと解決策を見つけたところでして、企画書には書いていないのですが、説明してご判断をいただきたいと思います」などと言って答えるのです。

 あるいは、Aの展開も考えられるが、それと同じぐらいBやCになる可能性も当然思い浮かぶ、というときに、それぞれの対処を考えておいた上で、話をとばしてしまう。たとえば「ここで仮に、Aのようになったとします。そうでない場合もあるわけですが、それはちょっとおいておきまして、Aだとすると○○のように対処できるわけです。えー、さて次の段階ですが……」ともっていってしまう。そこで「ちょっと待ってくれ、そうは言うけどBになったらどうするんだ?」「Cのようなことも起きるんじゃないですか?」と想定どおりの質問がくる。