「お天気」は、スモールトークの鉄板ネタ
英語圏の人達はフレンドリーで、見知らぬ人や初対面の人との会話を気軽に楽しむという印象が強いかもしれません。
実は、英語ネイティブの中にも、知らない人との会話に苦手意識を持つ人は多いものです。私が以前一緒に働いていた、経理や財務のキャリアを選んだ欧米人は、セールスやマーケティングの道に進む人たちより、知らない人との会話は不得意というタイプが多かったです。
「知らない人とのスモールトークは苦手。頑張って話しかけてみたところで、相手が話に乗ってこないまま、気まずい雰囲気になったら嫌だから」なんて、私たちの持つ不安とまったく同じことを言っていた同僚もいました。
スモールトークに苦手意識を持つ彼ら、彼女らは、どんな話題が適切かを意識し、スムーズな会話を目指していました。
そういったスモールトークが苦手な人を含め、欧米人がよく使っている、どんな時でも使えるスモールトークの鉄板の話題が「お天気」です。天気の話題で話しかけて、嫌な顔をする人はほとんどいません。相手がそれ以上の会話に乗ってくる気配がなければ、無理に続けずに、フェードアウトすることも簡単です。
そもそも会話のきっかけには、相手が返答に困らない話題が適切ですから、気軽に返答できるお天気の話題は、会話をスタートするウォーミングアップにぴったりなのです。
ここではまず、スモールトークの話題を選ぶ時の基準をおさらいしましょう。
・相手の負担にならない、軽い話題であること
・お互いの共通の関心事であること
・相手の共感を得る話題であること
・その後の会話を広げるきっかけになる話題であること
これを「お天気」や、ちょっと広げて「気候」に当てはめて考えてみましょう。
まず、天気や気候が気にならない人はいません。その日に着る服装にも影響しますし、天候次第で諸々の行動予定に影響が出てきますから、「天気」はすべての人が“関心”を持つ話題です。
お天気次第でちょっと憂うつな気分になり、なんとなく調子が出ないとか、寒さや暑さでまいってしまうなどの体調への影響も、多くの人が“共感”するものです。
少々大げさですが、天気に影響を受けるという意味では、どの国の人たちも、地球人として運命共同体なのです。これが「お天気」がスモールトークの鉄板の話題と言われるゆえんです。
日本人同士の会話でも、天気や気候についてのコメントをあいさつ代わりにする人も多いですから、この話題には抵抗感はないのではないでしょうか。
スモールトークをマスターする第一歩として、見知らぬ人と今日のお天気について、簡単な会話ができる準備をしておくといざという時に役に立ちます。
素晴らしいお天気であれば、「良い一日を過ごしましょう」と続けることができますし、憂うつな雨降りの状況では、「お互い頑張りましょう」と励ましあう気持ちを会話の中に込めましょう。何となく気分が乗らない時も、誰かとちょっとした会話を交わすことで、少し気分が晴れたりするものですよ。
また、お天気の話題は、その後の会話を様々な方向に広げることができます。これはビジネスシーンでのスモールトークでも重宝します。
・相手のホームタウン(出身地)の天気は、どんなか聞いてみる
・今週末の天気が良さそうな場合、何か特別な予定があるか聞いてみる
・それぞれの気候が異なる日本の“四季”について紹介する
このように、誰もが関心を持つ「お天気」や「気候」をきっかけに、様々な方向に話を広げることができるのです。