(2)焙煎日が記載されているか?

次に重要なのは、焙煎日の記載です。コーヒーは永遠に味が変わらないと思い込んでいる消費者の方々はたくさんいると思います。はっきり申し上げて、それはあり得ません。

コーヒーは生鮮食品です。保存方法にもよりますが、時間が経てば経つほど、コーヒーの風味や味わいが徐々に劣化していきます。

すなわち、食品に望ましい食べ頃があることと同じように、コーヒーにも飲み頃があります。そこで、購入前にぜひチェックしてもらいたいのは、焙煎日の記載の有無なのです。

もし、手に取ったコーヒーが焙煎日から数ヵ月も経ったコーヒーなら、購入はおすすめできません。コーヒーの飲み頃は、焙煎方法や保存方法、豆で購入するか、粉で購入するかによっても異なりますが、豆で購入して常温保存した場合、優しく見積もって焙煎後1ヵ月、本当に品質にこだわるならば、2週間程度が限度です。劣悪な環境で保存し、粉で購入した場合はさらにそのスパンは短くなります。

したがって、同じ金額を払うならば、賞味期限が長い「豆」の状態での購入をおすすめします。焙煎日のチェックは非常に重要な作業です。焙煎日から起算して、余裕を持って新鮮なうちに美味しく飲み切ることができる量を買う癖をつけましょう。

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(3)店頭で豆は入れ替わっているか?

また「売り場」を見わたすことも実は重要なテクニックです。生豆本来の新鮮さは重要な要素ですが、いかんせん消費者サイドから見ると知りようのない情報であることも事実です。

そこで試していただきたい方法は「売り場のコーヒー豆が定期的に入れ替わっているかチェックする」ということです。高品質なコーヒーを取り扱っているロースターの生豆は基本的に「売り切り」です。ブレンドなど通年提供される商品を除き、シングルオリジン(*)はその年に収穫されたコーヒーがなくなればそれで終売となります。

(注)
*生産国単位(ストレートコーヒー)で捉えず、農園、組合、品種などより小さい単位で捉えたコーヒーのこと

またコーヒーは収穫期が生産国によって異なります。したがって、コーヒー豆が輸入され、店頭に並ぶまで生産国によってタイミングが異なりますので、定期的に店頭のコーヒー豆が入れ替わります。

例えば、中米のコーヒーが店頭に並び始めるのは、お店側の在庫状況や輸入方法にもよりますが、夏頃から秋頃が一般的です。つまり、同じ銘柄が通年在庫あり、という状況は品質的には好ましくありません。

定期的にコーヒー豆が入れ替わっているロースターは、新鮮な生豆を使用しているロースターである可能性が高い、と考えることができます。

まとめると、次のようになります。

(1)【豆の情報】生産国以外の情報もあるか?
(2)【保存期間】焙煎後、時間が経っていないか?
(3)【店頭状況】豆が定期的に入れ替わっているか?

この3点を、まずは豆選びの基準として頭に入れておいてください。